第10話 明らかな矛盾


 予定よりかなり遅くなってしまっけど、これからおばあちゃんに会いに行きます。

 あれから半年くらい経ちましたが、元気かな。それでは、行ってきます。

 


 線路を渡ると山に続く長い坂道がある。そこを抜けていくと、海を望む高台に出る。そこは、集合墓地であるが、光差す高台。美しい海の景色が相まって、なんだか神秘的な場所である。

 わたしは、由美さんとして今この場所に立っている。


 眼前にある高松家の墓。手を合わせる由美さん。

 わたしは、あの落下事故でばあちゃんが亡くなったのではないかと考え始めていた。

 

 もし、そうなら由美さんがわたしの本当のおばあちゃんということになる。そう考えるとこの旅行の矛盾は無くなる。


 だけど、名前が違う。いや、名前がミスリードなのか。よくよく考えたら、おばあちゃんの苗字は当時のままだ。おじいちゃんが婿養子に入っていたとしても、おじいちゃんはいつも斎藤姓を名乗っていたらしく、おばあちゃんは最終的に斎藤家のお墓に入っている。

 おまけにしっかりと斎藤真央と書かれている。


 わたしが高松真央という名前を認識したのはいつだったのだろう。

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