竜星のセレン《最強の魔女は自由気ままに世界を巡る》

冰藍雷夏(ヒョウアイライカ)

第1話 エクスプロージョン!! 

 ここは竜と魔法と剣の世界。『オリフィス』。


 そして、この世界で最強の魔女の名は――――


「エクスプロージョン!」


「「「キャアアア!!」」」

「キュルエール先生ー!セレンさんがまた教室内で大魔法を!」

「またですか! ティファレントさん! 貴女という人は、毎回毎回。多大なる被害を我が学園にもたらしてくれますね!」



 ドガン!と火魔法の最大火力ある『エクスプロージョン』を、イリアス魔法学園の実験室で放った女生徒。


「うぅぅ……頭が痛いですね。あちゃ〜! また実験失敗しちゃいました……すみません。皆さん」


 黄金色の長いつややかな髪。グリーンサファイアの宝石の用な美しい瞳に恵まれた様にを持つド変人。


 この女生徒こそが。この世界。竜と魔法と剣の世界。『オリフィス』でもっとも強い魔女。竜星の魔女 《セレン・ティファレント》である。


「……教室に大穴開けちゃいましたね。いったい誰の仕業でしょうか?」

「「「セレンさんです!」」」

「ぐうぅ!! 廊下に立ってなさい! セレン・ティファレント!!」

「……あぃ。シュミマセン」


 セレンは、魔法実験学の教師。キュルエールの言う事を素直に聞くと、廊下へと出ていく。しかし、セレンの顔に反省の色はない。


「実験室を直し終わったら、放課後は王都でスイーツめぐりですね。フフフ」


 後で自分の魔法で吹き飛ばした全てを直せば良いと、たかくくっている為だ。


「キュルエール先生〜! セレンさん。全然、反省してませんよ」

「あっ?!」

「ひぃ!」


「エヘヘ……スイーツ……巡り〜……エヘヘ……」


 廊下も完全爆破されている為、全く反省しないセレンの顔は、オーククイーンの様に怒り狂うキュルエール先生に。バッチリと見られていた。



 授業が終わり。放課後わキュルエール先生が向かった先は理事長室だった。

 それは勿論、最近になって世界最強になった自慢の教え子を矯正する為である。


《イリアス魔法学園 理事長室》


「ジルニア理事長! このままでは、セレンは、必ずあやまちを引き起こします! どうにか対策しましょう!」


「……対策? また、何かやらかしたのかな? イリアス魔法学園が誇る世界最強の生徒が?」


 スーツを着た金髪の少年に見える人物は、イリアス魔法学園の理事長ジルニア・バース。


 今は優雅にティータイム中だったが。怒るキュルエール先生の出現により。その時間は終わりを告げた。


「ですから、セレンを特別視するから。あの子が怠惰たいだになっていくんですよ。昔は、あんなにシャキッとしていたのに!」


(シャキンッ! エクスプロージョン!!)

(((キャアアア!! セレンさんがまた、エクスプロージョンを放ちましたわ〜!)))


「……う〜ん。昔も今も、そんなに変わってないと僕は思うけどね〜? 怠惰になっちゃったの? あの娘?」


「はい! とてもとても怠惰です……先程も、セレンが爆発させた実験室を修理魔法で修理させた際も」



(シュ〜ン〜ショイ! 終わり。終わり〜! それじゃあ。キュルエールお姉ちゃん。私はこれにて失礼します。イリアスの王都でスイーツを食べに……)

(……行かせないわよ! セレン!!)

(がはぁ?!……キュルエールお姉ちゃん。何で私のお腹にパンチを?……ガクッ)



「なんて、呑気な事を言っていたので。縛り上げて、理事長室の廊下に立たせています」

「立たせ……凄いね。世界最強にお腹パンチで倒しちゃうなんてね。君こそが真の世界最強かい?」

「あの子が油断して学園生活を送ってるだけです!」

「怠惰ねぇ。う〜ん。なら……こういうのはどうかな?」

「……あの子を矯正する良い案があるのですか?」 



 最近、怠惰なセレンに対して話し合われている一方。その頃のセレンはというと……


「チョモランマのケーキ食べたいですね〜! プリラの実を使ったタルトタタンも捨てがたいですね……エヘヘ」


 この後、王都で食べる予定のスイーツに想いをせていた。

 そんなだらしのない顔をしていると。理事長室の扉が開き中から笑顔のキュルエール先生が姿を現した。


「セレンちゃん〜! ジルニア理事長が及びよ。中に入りなさい〜!」


「エヘヘエヘヘ………?……キュルエールお姉ちゃんがセレンちゃん呼び?」


 謎に笑顔なキュルエール先生に疑問に思いながら。セレンは何も考えず。言われるがままに理事長室へと入って行く。


「し、失礼します。ジルニア先生」

「うん! こんにちは。イリアス魔法学園の若きホープさん」

「は、はい! こんにちは!……えっと。私、何でここに呼ばれたんですか?」

「うん。君が最近、怠惰になったって聞いてね。授業中は大好きなスイーツの事ばかり考えているんだってね?」

「へ?……い、いや〜……な、なんの事でしょうか?」

「そんなにスイーツが好きなら、世界にあるスイーツの材料とかにも興味があるよね?」

「……材料?」

「うん!」


 セレンは困惑していた。スイーツが好きだけど。何でその材料が話題になるのかと。


「キュルエール先生。セレンさんにあの紙を渡してあげて」

「はい! ジルニア理事長。セレンちゃん! 頑張りなさいね! 貴女がこの旅で世界各国をめぐって、危険な旅で矯正されるのを楽しみにしておくから」

「……あい?」

 

 キュルエール先生は何も分かっていない。セレンへと1枚の紙を手渡した。


「イリアス魔法学園から。竜星の魔女 《セレン・ティファレント》に特別依頼だよ。その紙の中にある材料を世界を巡っててほしいんだ。最高のスイーツケーキを作る為にね」


「ふぁい?……最高のスイーツケーキを作る為に特別依頼………へ?……へえええ?!!」

「うん。よろしくね」


 こうして、竜星の魔女の世界をめぐる旅は始まったのだった。


 


最後まで読んで頂きありがとうございます。

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