お題37:付き合って3日目の彼女に「実は私、未来のあなたの部下です」と言われた。

 俺は今、幸せな気分だ。付き合い始めて3日目になる彼女と、デートをしているのだから当然と言えるだろう。


「あの、実はお話があります」

「ん、どしたの? 真面目な顔して」


 生真面目に見える彼女、まだ慣れていないせいなのか、付き合っているというのに敬語が外れない。そんな彼女が、真剣に向き合ってきた。


「実は私、未来のあなたの部下なんです」

「なんて?」


 彼女はこんな冗談を言うタイプではないはず。同級生の彼女から実は部下です、と言われてすぐに飲み込めるやつなんかいないと思う。


「申し訳ありません。ですが、見過ごせなかったんです」

「なにを?」

「貴方は本来、別の女性と付き合うはずでした。しかしその後、ひどい結婚詐欺だったと知ることになるんです」

「なにが?」


 どうしよう動揺しすぎて三文字しか喋れない。俺結婚詐欺にあう未来があったってこと?


「ですが、私が代わりになることで回避できました。ですので私は、心置きなく未来に帰ることができます」

「えっ」

「それでは」


 そう言って、彼女は目の前から一瞬で姿を消した。ナニコレ、悪い夢かな?

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