お題28:コンビニのおにぎりを開けた瞬間、中の具が「話がある」と言って逃げ出した。

「ようやく顔を拝めたな。話がある」

「私は無いんですけど。今おにぎり食べてるから後にして」


 こうしてみると普通の男女の会話に思える。しかし、状況は想像以上に混沌としている。


「私が食われてしまったら、話ができぬではないか!」


 そう、今私に語り掛けているのは、おにぎりの中から出てきた梅干しなのだ。いや怖いわ。


「残業続きでおかしくなっちゃったのかなぁ……?」

「目の下のクマに眉間のしわ。ちゃんと休養をとれていないのだろう?」

「しわだらけの梅干しに何がわかるのよ……」


 なんか口酸っぱく注意をし始めたんだけど、本当になんなの。


「とにかくだ。このまま私を食べてしまう前に、小生の話を聞いておくがいい」

「いや食べないわよ。しゃべる梅干しとか気味悪いし。捨てるわね」

「ちょっ! 待って! お願い話聞いて!」

「梅干しがいっちょまえにキャラ作ってんじゃないわよ!」

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