竜殺しの姫は剣で測る

SHI

第1話

「全員、引けっ!!ここは私がやるっ!!」

馬が後退していく。残された一騎。

「お前も下がれ」

馬の首をポンポンと2度叩くと、剣士は下馬する。馬は心配そうに振り返るが、自分が足手まといにならないように全速で駆けていった。

 残された剣士の目の前には、小山ほどの大きさもあるトカゲ、ドラゴンが鎮座していた。

「グオォォォォ」

その咆哮に剣を構える。爬虫類独特の鋭い眼で睨みつけて威嚇する。剣士がジリリと間合いを詰めると、ドラゴンはその太い腕を繰り出した。剣士は一足飛びでそれを躱し、2歩、3歩と横に身体を流すと、ドラゴンの巨躯に向かって飛びこび、剣を振り下ろした。

「ギャァァァァァ」

一刀両断、その首は落ち、断末魔が鳴り響く。ピクリピクリと痙攣していたが、それもなくなると、わぁぁぁぁと歓声が起こる。

 剣士は兜を取ると、柔らかいオレンジの髪が垂れ、見目麗しい、けどどこか勝ち気な面持ちの女性の顔だった。

「姫様、お見事ですじゃ」

剣士が乗っていた馬の手綱を引き、騎馬の老人が労う。

「じぃ、ありがとう、で、被害は??」

姫と呼ばれる剣士は、馬に飛び乗る。

「村が2つ壊滅しましたが住民は避難して無事、討伐隊も姫様の活躍で負傷者はありませんでしたじゃ」

「それはよかった。隊の一部は被災民の保護、一部はドラゴンの亡骸の始末、他の者は城に帰るぞ」

姫を先頭とした一団は、その場をあとにした。




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