茨の姫は眠れる森に横たわる
十 央美
序章 《宝石姫》より
遠い遠い、いつかの物語。
あるところに、それは美しいお姫様がいました。
生まれた時から愛らしかったお姫様は、赤子の頃の泣き声すら、鳥の囀りのようだと慈しまれました。
笑うだけで周囲を幸福へ導く小さなお姫様。
そんなお姫様は、成長と共に可憐さを増し、美貌に磨きがかかりました。
輝く金色の髪は太陽の光を集めて撚った絹糸のよう。光を反射して煌めく緑の瞳は、きっとこの世で最も美しい宝石をはめ込まれているのだ、と。そんな空言がまことしやかに囁かれる、宝石のごとくお姫様。
お姫様は、まるで腕利きの職人が丹精込めて作った人形のような、精緻な美貌を持っていました。
ですが、――お姫様が持っていたのはそれだけです。
あとはお姫様が、自分の力で手に入れなければいけませんでした。
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