霊障を"治す"のではなく、「これはあなたの感情じゃない」と切り分けてくれる物語。気持ちを自分から引き剥がして眺め直す手つきは、成仏のさせ方であると同時に、現実の心のケアの比喩にもなっていて、読み終えると自分の心まで少し軽い。「疲れた」を「憑かれた」と読み替える診断もお見事。派手さより、優しい誰かにこんがらがった心をそっとほどいてほしい人に効きます。「ほんの少しだけ、母親の顔をしていた」——この一行に作品の体温が全部つまっています。