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  • きみがためへの応援コメント

    藤原義孝の歌は「大切な人のために生きたい」という気持ちを表しているのに対して、物語の主人公はむしろ「死んでもいい」と感じているところから始まるので、その対比が強く心に残ります。
    浅村しおんと出会い、二人が一緒に過ごす時間は温かく、読んでいる側も少し安心するような場面でした。それは主人公にとって救いであり、人生に光をもたらす瞬間であったと思います。
    けれど、その「神様」が突然いなくなってしまうことで、物語は一気に不安や恐怖の色を帯びていきます。
    主人公が「浅村しおんを生きる」と決意する場面は、友情や憧れが極端な形で表れていて、切なくも不思議な余韻を残します。
    和歌の「生きたい」という願いと、浅村の「眠れなかった」という遺書が響き合うことで、読者は「生と死のすれ違い」を強く感じるのではないでしょうか。

    繰り返し読むことで、何か発見がありそうな、美しい物語でした。

    作者からの返信

    藤原義孝は天然痘のため、21歳という若さで亡くなりました。
    噂によると、義孝の兄も同日に亡くなり、兄の挙賢は朝に、弟の義孝は夕方に亡くなったそうです。
    どうやら義孝は自身が薄命であることをよく理解していたようで
    あまりこの世に未練はなかったそうです。
    ただ、死の間際に立った時、ある女性を思い出してしまい、
    彼女に逢うまでは死にたくない、と思ってしまったのです。

    本作の主人公は病気も患っており、この世に未練のない、
    まるで義孝のような性格をしていますが
    大切な人…浅村を亡くしてもなお、生き続けようと、
    むしろ浅村として生きようとしました。

    もし義孝よりも先に、相手の女性が亡くなっていたとしたら
    どうしたのかはわかりませんが、
    主人公は生き続け、好きでもない女性を助けようと思ったのです。

    ただ、主人公の命もそう長くはありません。

    あなたならきっと、
    いえ…私の過去作をよく読んでくれた人は皆、
    主人公の最期をよく知っていることでしょう。