2025年12月15日 09:03
きみがためへの応援コメント
藤原義孝の歌は「大切な人のために生きたい」という気持ちを表しているのに対して、物語の主人公はむしろ「死んでもいい」と感じているところから始まるので、その対比が強く心に残ります。浅村しおんと出会い、二人が一緒に過ごす時間は温かく、読んでいる側も少し安心するような場面でした。それは主人公にとって救いであり、人生に光をもたらす瞬間であったと思います。けれど、その「神様」が突然いなくなってしまうことで、物語は一気に不安や恐怖の色を帯びていきます。主人公が「浅村しおんを生きる」と決意する場面は、友情や憧れが極端な形で表れていて、切なくも不思議な余韻を残します。和歌の「生きたい」という願いと、浅村の「眠れなかった」という遺書が響き合うことで、読者は「生と死のすれ違い」を強く感じるのではないでしょうか。繰り返し読むことで、何か発見がありそうな、美しい物語でした。
作者からの返信
藤原義孝は天然痘のため、21歳という若さで亡くなりました。噂によると、義孝の兄も同日に亡くなり、兄の挙賢は朝に、弟の義孝は夕方に亡くなったそうです。どうやら義孝は自身が薄命であることをよく理解していたようであまりこの世に未練はなかったそうです。ただ、死の間際に立った時、ある女性を思い出してしまい、彼女に逢うまでは死にたくない、と思ってしまったのです。本作の主人公は病気も患っており、この世に未練のない、まるで義孝のような性格をしていますが大切な人…浅村を亡くしてもなお、生き続けようと、むしろ浅村として生きようとしました。もし義孝よりも先に、相手の女性が亡くなっていたとしたらどうしたのかはわかりませんが、主人公は生き続け、好きでもない女性を助けようと思ったのです。ただ、主人公の命もそう長くはありません。あなたならきっと、いえ…私の過去作をよく読んでくれた人は皆、主人公の最期をよく知っていることでしょう。
きみがためへの応援コメント
藤原義孝の歌は「大切な人のために生きたい」という気持ちを表しているのに対して、物語の主人公はむしろ「死んでもいい」と感じているところから始まるので、その対比が強く心に残ります。
浅村しおんと出会い、二人が一緒に過ごす時間は温かく、読んでいる側も少し安心するような場面でした。それは主人公にとって救いであり、人生に光をもたらす瞬間であったと思います。
けれど、その「神様」が突然いなくなってしまうことで、物語は一気に不安や恐怖の色を帯びていきます。
主人公が「浅村しおんを生きる」と決意する場面は、友情や憧れが極端な形で表れていて、切なくも不思議な余韻を残します。
和歌の「生きたい」という願いと、浅村の「眠れなかった」という遺書が響き合うことで、読者は「生と死のすれ違い」を強く感じるのではないでしょうか。
繰り返し読むことで、何か発見がありそうな、美しい物語でした。
作者からの返信
藤原義孝は天然痘のため、21歳という若さで亡くなりました。
噂によると、義孝の兄も同日に亡くなり、兄の挙賢は朝に、弟の義孝は夕方に亡くなったそうです。
どうやら義孝は自身が薄命であることをよく理解していたようで
あまりこの世に未練はなかったそうです。
ただ、死の間際に立った時、ある女性を思い出してしまい、
彼女に逢うまでは死にたくない、と思ってしまったのです。
本作の主人公は病気も患っており、この世に未練のない、
まるで義孝のような性格をしていますが
大切な人…浅村を亡くしてもなお、生き続けようと、
むしろ浅村として生きようとしました。
もし義孝よりも先に、相手の女性が亡くなっていたとしたら
どうしたのかはわかりませんが、
主人公は生き続け、好きでもない女性を助けようと思ったのです。
ただ、主人公の命もそう長くはありません。
あなたならきっと、
いえ…私の過去作をよく読んでくれた人は皆、
主人公の最期をよく知っていることでしょう。