美少女魔王の農業生活!
@hatisuke_2040
エピソード:0 最終決戦
ここは魔王城。魔王、シャイターナ・ヴァン・ヴェインは勇者と相対していた。
「来たか。勇者よ……」
見た目とぴったりと合った、まだ幼い少女のような声。しかし、そんな声の彼女は、今まで数え切れないほどの数の人間を快楽的に殺している史上最悪のヴァンパイアだ。
その中には、勇者の仲間たちも含まれていた。
「今日こそ貴様を殺し……皆の仇を討つ!!!」
勇者が聖剣を抜き、魔王が何もない空中から血液のように真っ赤な刀剣を出現させた。
勇者が憎しみの闘志に染まった目で魔王を睨む。魔王はそんな勇者を見て、その目に宿る闘志がへし折られた時、どのような表情を浮かべてくれるのか、と楽しげに想像した。
だがしかし、魔王は油断しない。この男をここまで仕留めそこねたのは、この男が他とは一線を画す力を持っていたからである。更にその力は憎しみによって増幅され、今となっては魔王と互角か、それ以上の力を得ているはずだ。
故に女魔王、シャイターナは油断しない。油断せず、この魔大陸に神代より伝えられてきた剣術の構えで勇者を迎え討たんとする。
勇者が、シャイターナが構えをしてからほんの一瞬だけ遅れて構える。数秒睨み合った後、勇者と魔王が同時に踏み込んだ。
「あああぁぁぁぁぁッ!!!」」
「ハハハハハッ!! 死ねえぇぇぇッ!!!!」
憎しみの絶叫の勇者と悦楽の笑いの魔王の剣が空中で衝突。いくつもの火花を散らしながら剣戟がまるで音楽であるかのように次々と奏でられた。
右袈裟、一文字斬り、左袈裟、心臓への突き。両者一歩も引かず、互いの剣と剣をぶつけ合った。そして先んじてしくじったのは……魔王シャイターナ。
勇者が隠していた魔力を超高圧で噴射して魔力の刃を形成して全てを切断する奥義、魔力剣を不意に腹部に受ける。
血を吐く魔王。しかし、勇者は容赦なく畳み掛け、魔王の左頬に魔力による身体強化を合わせた強力な一撃を叩き込んだ。
魔王は後方へ吹き飛び、壁に叩きつけられる。するとすぐに勇者の魔法が追撃に向かってきた。魔王はギリギリのところで回避したが、左腕を丸ごと失った。
そんな魔王に、勇者の弾幕のような大量の魔法が東西南北全方向から同時に襲いかかる。全方向に逃げ場を失った魔王は必然的に上へ逃亡。
しかし逃げた先には、聖剣を高く掲げた勇者の姿があった。
「これで終わりだああぁぁぁッッ!!」
勇者の叫びと同時に、金色の魔力が聖剣を中心に渦を巻くように高く昇った。全てを断絶する最終奥義【
「クソオオォォッッ!!」
魔王が叫び、血の盾を作ってなんとか防御を試みる。
「死ねッッ!! 魔王オオォォッッ!!」
そして振り下ろされた剣はいとも簡単に盾を断ち切り、魔王の身体を、右鎖骨から左脇腹にかけてを大きく切り裂いた。
魔王は魔王城の壁をぶち破り、その先にあった山に叩きつけられた。山肌に、盛大に血のペンキがぶちまけられる。
だが、魔王は生きていた。彼女は自身に治癒魔法をかけ、なんとか自身の命を引き止め生きながらえようとする。
しかし、勇者はそれを許さない。魔王城から走り、ほんの数秒で魔王の元までやってきた。そしてクソ虫を蔑むような目で魔王を見下ろす。
「まだ生きているのか。まったくゴキブリのようなやつだな。貴様は」
魔王はゴキブリが何なのかはわかっていなかったが、自身が蔑まれているのだということだけははっきりと理解した。
「ククク……」
すると、魔王に唐突に笑いが込み上げてきた。まさか、この魔王が、150年生きたこの魔王シャイターナが、この程度の小童にこうも見下される日が来ようとは思っていなかったからである。
「クハハハハハハハハ……」
そして、笑いが止まった。その目を死なば諸共の殺意に変えて。次の瞬間、あたりに魔力が渦巻いた。
「褒めてやろうではないか。勇者よ。我をここまで追い詰めるとは……その功績、あの世で誇るがいい。我が認める。貴様の勝利だ。だが! 勝者だからといって、貴様が生き残ることができるわけではない!!」
魔王たるシャイターナ・ヴァン・ヴェインは勇者に敗北し、それを自らさえも認めた。しかし、この程度で魔王は終わらない。
「今から私は自爆する! 爆発半径は約5km!! お前の足なら逃げ出すことも可能かしれぬが、当たれば確実に貴様に死を与えるだろう!!」
勇者は背を向け、走り出そうとする。魔王軍の残党はまだ残っているため、死ぬわけにはいかないのだ。しかし、魔王はそんな勇者の腕を捉えて、引き止める。そして凶悪に笑って、叫んだ。
「さあ勇者よ!! 私と共に心中だ!! 精々地獄でまた会おうぞ!!!」
しかし、勇者はそんな言葉には耳を貸さずに魔王の腕を切断し、逃走する。勇者の足ならばギリギリではあるが、爆発半径から逃れることはできるだろう。
魔王の身体が足の先から膨張し、魔力の光が漏れ始める。痛みはない。ただただ、漠然と死がそこに迫ってきているだけ。
魔王は天を仰ぎ、勇者に切られた自身の腕から赤い刃を血で作り、自身の腹部へ突き刺した。
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あと、別作品に『厄災へと至るまで〜最強の殺し屋は異世界にて最凶最悪の魔族になる〜』っていうのがあります! こっちもぜひ読んでみてください!
今日はこの小説の初投稿なので9時に『エピソード:1 腹ペコ魔王と召喚者』を投稿します! お楽しみに!
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