-目を覚ますと美少女にTSしてた話-
大判鮫
第1話 男の娘っていうか女の子
あれ…?
体が重い…。寝起きだからとかそんなレベルじゃない。確かに寝起きはダルいけどここまでキツくはない。
「虫…!?って、髪の毛か。長くね?銀髪?」
腕に虫の触覚のような感触がしてビックリしたが虫ではなかった。その正体は銀色に煌めく長髪であった。
「女の髪…?」
俺は短髪の黒髪。しかしこの髪は銀色、しかも長髪である。髪の束を辿ると自分の頭に行き着く。
「もしかして、俺の髪…?」
流石にウィッグかなんかだろと思いひっぱるが
頭皮までしっかり根を張っているっぽい。
少しばかり重い体を起こし急いで洗面台へ向かう。
「はぁぁ!?おい、まてまてまてまてまてぇ!」
洗面台の鏡を見ると写っていたのは自分ではなく
2次元でしか見たことないような絶世の美少女が立っていた。割と幼く見え15歳~17歳前後、高校生ぐらいだろうか?それに何がとは言わないがデカイ。少し触ってみたが男としての本能が消えてしまったのか特になんとも言えない気持ちになってしまった。
「これがほんとに俺?」
そう言って頬をつねったが夢でもなさそうだ。
頬は少し赤くなり地味に痛みが残っている。
「なんでこんなことに…?」
特にこれといって変なことをした覚えはない。
寝てる間に変な薬でも飲まされってたのか?脳みそをフル回転させたが答えは出てこなかった。
テンテン♪テン♪テレレ♪テン♪テレレ♪
意味もなく経緯を考えていると電話がかかってきた。
「美夏(みな)か…どうしよう、声大丈夫かな?」
2度目の声変わりをしてしまい美夏がどんな反応をするのかが少し気になってしまう。
ピッ
「おっはー起きてる?」
「……………」
「天空(そら)ー?返事しろー」
「…お、おはよう…ございます。」
「なんで敬語?って………え?…え?女?」
「…」
「どなたですか?あなた天空の何ですか?」
「俺は…湯宮 天空(ゆみや そら)…本人です…」
「は?何言ってんの?そんな嘘通じるわけないでしょ!?もういいよ!今から家行くから!」
ピーピーピー…
「どう説明しよう…」
朝起きたら女の子になってたなんて信じれる訳ないよな。俺だってまだ半信半疑だし。
30秒後 ガチャ
玄関の扉が開く。足音を大きく鳴らして2階に上がってくる。恥ずかしいので隠れたいが色々と頼りたいこともあるので仕方ない。
「よ、よう…」
「あんた誰よ!天空はどこ!?」
「だから…俺が天空だって…」
「な訳ないじゃん!本当に天空なら私の黒歴史言えるでしょ!」
「わかったわかった!言ってやればいいんだろ?じゃあ1つ目、幼稚園のとき先生が作った泥団子を池に投げ捨てる。2つ目、小学生のとき爪を噛みながら『私はMです』ってやってたよな。まだあるけー」
「もういい!認めるからそれ以上は恥ずかしいから辞めて…!で、本当に天空なんだね。」
「そう言ってるじゃん」
とりあえず朝起きてからの事を説明する。
「…なるほどね。って信じられるかい!でも、実際に女の子になってるのよね…。てか学校どうするの?」
「あ、忘れてた。まってどうしよ!?」
「今日は休んだら?私連絡入れとくよ?」
「いや行く!今日の小テ受けてない奴も補習あるっぽいから行くしかない」
「そういえばそうだったね…制服どうする?一応私スカート2着持ってるけど?」
「スカート…スカート!?恥ずいって!」
「しょうがないでしょ…男子の制服で行ったらややこしくなるでしょ。それにあんた可愛いから似合うよ」
「確かに可愛いけどさ…履くしかないか」
「よろしい」
俺は高校生なんで学校に行かなきゃいけない。男としてなら別に何も思わんよ?でも今の俺は美少女よ?女装とかのレベル越えてんだって…スカートとか文化祭のメイド服でしか履いたことねぇよ。
「へぇ、似合ってるじゃん」
パシャッ
「…シャシントラナイデクダサイ」
「いいでしょ?減るもんじゃないし」
「俺の精神がすり減るわ!」
「まぁまぁ、とりあえずうち来て」
「なんで?」
「いいから」
強制的に美夏の家に連れてかれる。そういえば美夏の家に入るのは久しぶりだな。ん?美夏の部屋が開いてたので少し覗くと、ゲーミングPCやモニターが2つ。配信でもするのかというマイクなどの機材。
「美夏って配信とかしてんの?」
「え?いや、してないけど?なんで?」
「機材の量凄かったから…」
「配信部屋見たの!?最低!」
「配信部屋…?」
「あ、」
「してるんだ?」
「はい、シテマス」
「だからたまに叫び声聞こえるのか」
「え!?私の絶叫聞こえてんの?」
「隣の家だからな、多分俺の家からしか聞こえんと思うぞ」
「なら良かったとはならないけど、まだマシか…」
美夏が配信してるのは少々意外だった。普段の美夏はテンション高いとはいえ叫んだりするほどではない。俺も配信やってるしいつかコラボしたりしてな…。
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湯宮 天空(ゆみや そら)は配信者である。主にゲーム配信が多く、それなり人気もありヨウツベの登録者は80万人前後で知ってる人は割と多い。
そして天空の幼馴染である橘 美夏(たちばな みな)も配信者である。天空とは打って変わってVTuberをしており企業勢ということもあって超人気であり、登録者も200万を越えている。
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美夏は俺が配信者という事を知らない。俺だけ知ってるのは気が引けるが大丈夫だよな?別に配信してるのを知っただけで中身までは知らないし。
「で、なんでここへ?」
「なんでって、メイクしないとでしょ?」
「いやいいよ」
「ダ〜メ!せっかく肌も白いし顔も整ってるんだからメイクしなきゃ!それに肌痛めるよ?」
「はぁ、わかったよ」
俺にはメイクなんてまったく分からないので美夏に全て任せることにした。
「おぉ〜。更に可愛くなってる」
「ね?やって良かったでしょ?」
「まぁ、はい。」
「素直でよろしい。そろそろ学校行く時間だから支度して、できたら教えて」
「りょうかい」
一度家に戻り支度する。スカート履くついでに着替えていたのですぐに終わった。
< 美夏
『終わったよ』
『おっけー』
『もうすぐ終わるから家の前
で待ってて』
『り』
家の前で待ってろとの事なので美夏の家の前で待ってるのだがさっきから何かむず痒いというか気持ち悪い。俺と同じ高校のやつらだろう。初めて見る美少女、しかも同じ高校の制服、転校生とでも思ってるのだろう。ただ、男子共の視線がキモイ。まぁ美少女で胸も割とデカかったら見てしまうのも元男として理解はできるが、それでも気持ち悪い。
「女子って大変なんだな…」
「わかってくれた?」
「あ、美夏」
「男子の視線キモイでしょ?でも、すぐ慣れるよ」
美夏は意外と清楚寄りで男人気が高い。容姿も非常に良く、それ故に学校で1、2番を争うほどだ。俺には勝てないだろうけどな。
「なにニヤついてんの?」
「いや、なんでもない」
「そ?とりあえず行こっか」
スカートを履いてるという事実を思い出し恥ずかしくなりながらも学校まで歩いていく。
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