ロリコン昭和に転生

アイディンボー

第1話 1.当世自慰行為事情



 男性が街中から姿を消して数百年、必要に迫られ社会は女だけで回る様になっていき、日々の生活に支障をきたす様な事は無い。

 だが、男性がいなくなっても女性の性欲だけは昔通りに残っている。


 男女比が半々の時代から一定の割合で同性愛者は存在した、明確な統計が有る訳ではないが、女性ばかりの世界になって同性愛者が増えたかもしれない。


 同性愛者は学生時代にその萌芽が見えて来るが、その殆どが閉鎖された組織での疑似恋愛で終わってしまう。

 その中でも信念を貫きとおした人達は大学生や社会人になっても背徳的な恋愛を続けるのだ。


 だが、同性愛者には問題がある、あくまでも恋愛なので、出会いが無ければどうしようもない。

 相手を探し恋愛をしたい人ばかりではない、性欲を解消する為だけに身体を重ねる。そんな相手を提供する商売が出てくるのは時流に沿ったものだった。


 出せば終わりの男性向け風俗とは違い、女性向けの風俗には役割がある。

男役のタチ

女役のネコ

どちらもこなすリバ


 それぞれの役割と好みの外見、相性などが有るので、男性風俗とは比べ物にならないくらい複雑な女性向けの性欲解消ビジネス。

 男性よりも心の結びつきを重視する女性風俗、時には入れ込み過ぎて客とキャストの刃傷沙汰も起きるが、それも含めてのネオン街だ。


 女性ばかりの世界でも買春が成立すると言うことは、金を払わずに無理やり押し倒す、性犯罪も成立する要件を満たした。

 世の中が女性ばかりになっても防犯ブザーは必要だ。



 タチやネコ等の面倒な役割分担が不要で刃傷沙汰の心配のない、性欲解消の道具としてディルドが推奨されている。

 高機能の電動型から、高校生の小遣いで購入出来るチープな物、リアルな型どりと生々しい着色がされた製品から、パステルカラーのPOPなアクセサリーまで。


 ベッドの上では交尾期の動物に成り下がる女性のお伴だが、何歳から使い始めるのかは人それぞれ。

 性欲の顕現は人それぞれだろうが、文部省の方針で高校生になるまで、その為の教育はしていない。


 15歳以前の子供には性欲は存在しないと言う前提だが、実際には10歳前後で性の目覚めを経験している少女達。


 10代前半の股間に異物を押し込むディルドは早すぎる、分別のつかない歳なのでサイズのあわない物を押し込み出血をしたり、手入れが悪いと、雑菌が繫殖して感染症になる可能性もある。


 親としてディルドはまだ早いが、性欲の萌芽があらぬ方向に向かい。倒錯的な同性愛の道に転ぶかもしれない。

 そんな小中学生達の性欲解消の道具がビーチボール、ディルドの様にあからさまに使用目的が分かるわけではなく。


普通のオモチャとして売られているので、家に置いてあっても何の不自然さもない、価格も数百円と手頃なのも良い。

 お店側のそれが分かっているのだろう、本来なら夏にしか使わない物だが、オールシーズン店頭に置かれている。



 娘の下着が不自然に汚れ始めたら、気の利いた母親は空気の詰まった塩化ビニールを脱衣場やベッドルームにさりげなく置いてあげる。

 あくまでも、

“使い方はあなたが考えなさい”

 と言うスタンスを崩さないのが良い母親の条件だ。



 ▽▽



 稲荷いなり市立、加納けなん第三中、二年三組

 クラスで一番背の低い、綾瀬洋子ようこ、当番でいつもよりも早い時間に登校したら、教室にはまだ誰もいなかった。

どうしてなのかは覚えていない、気がつけば机の角の股間を押し付けていた。

 今まで経験したことのない感覚の嵐に我を忘れた。


 仲良しの真由美まゆみ加奈子かなこに秘密を話したら、二人とも机の角はもう経験済みだった。

 更に真由美まゆみからはもっと刺激的な提案が。


 いつ他の生徒が来るか分からない教室よりもお部屋でしたらどうか?

 机の角なんて硬いものではなく、ビーチボールに乗ればフワフワして気持ち良いよ。


 そう言えば自分の家にも脱衣場に畳んだビーチボールが有った気がする、だが、思春期を迎えたばかりの中学生達には自室での自慰行為はハードルが高い。

 そんな時に加奈子かなこから、

“誰も知らない家があるけど、どうする?”

 断る選択肢はなかった。


 ▽


 日曜日の朝、友達と公園に遊びに行くと言って出かけた少女達、泉公園を無言で通り過ぎ、オレンジと黒のストライプに塗り分けられた、立ち入り禁止の“ウマ”を無視して貯水池に進むと、林の中の急斜面をズイズイと登る。

 台地の上は華陽はない地区と呼ばれ、お屋敷が多い場所、そのお屋敷の一つに辿り着いた。


 初めて経験する、誰もいないお屋敷への侵入に色々と思うところがあるのだろうけど、これから始まる背徳の宴にお誰も口を開かない。

 加奈子かなこの無言の案内に従い、二階に上り和室に案内される。


 一心不乱にビニールに空気を入れる少女達、部屋の中には“シューシュー”と言う音だけが響く。

 その後は馬乗りになって、リズミカルに上下運動をしたり、腰を前後に動かす。

“ギュギュ”と言うビニールの擦れる音と、子供の荒い息使いだけが空き家に響く。


 体勢を変えて四つん這いになって、下腹に塩化ビニールを押し付けてみたが、服が邪魔だ。

 少女達は余分な布切れは投げ捨て、幼い身体を汗まみれにしながら、いつまでも……


 忘れられた空き家は青い欲望で満たされた。



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