Tier D 下位【曹叡・孫権・拓跋珪・姚興】

【企画全ページ共通エクスキューズ】

 この企画にて紹介される人物たちの事績において重要なのは「史書にこのように書かれている」=「史書がこのように書く必要があった、と評価していた」です。「その人物が実際にそうであった」と言うことではないと、割と強めにご認識下さい。

 つまりキャラクターとして消費するのはアリ、と言うか大切な入り口だと思うんですが「史学的な人物評価に直結させてしまうとあぶないよ」とは書いておきます。

 この辺、たぶん上位人物を紹介するときにはかなり意識して書きます。マジで危ない話なので。


 こんにちは、波間丿乀斎です。こういうのに独断と偏見に基づいた、といちいちエクスキューズつけないといけないことすっかり忘れてましたてへ。というわけでここから、クソ君主を下位から紹介していきます。ここでグレードDは何なのかといえば「え、そいつまでクソに含めちゃうの……?」と言われがちな人たちです!


 なお、見出しは

 名前(生年-即位年-没年 時代・国諡号)

 とあらわします。



○50位 曹叡(205?-226-239 三国・曹魏明帝)


魏で奢侈や浪費が目立つ。(DeepSeek)

せいぜい贅沢し過ぎた二代目社長。(ChatGPT)

奢侈はあったが有能。(Claude)

政治能力は高いが、宮殿造営などの浪費癖とサディスティックな一面(直諫した臣下の処刑等)で加点。(Gemini)

魏明帝。奢侈・宮殿建設だが統治可。(Grok)

文化事業は盛んだが浪費が多く、国力を消耗した凡庸君主。(Copilot)


偏差順位43:わりと一致

 栄えあるトップバッターは曹魏二代目、明帝! 諸葛亮北伐の時の皇帝と言うとわかりやすいかもです。ちなみにこのクソ君主列伝に劉備も混ぜたら「お前さすがに劉備はいれんなよ」と全AIさんに怒られました。

 曹叡はどういう人物かといえば、司馬懿司馬師親子が台頭していく時の皇帝、なんですよね。つまり魏帝の権威が相対的に下がりはじめる端緒にいたひと。贅沢好みを諌められたと書かれるんですが、それを諌める高堂隆の伝がアホみたいにぶ厚くてまがおになります。

 なおランキングには「偏差順位」というのを付記してますが、これは「各AIの意見がどれだけ割れたか」を物語る指標です。順位が低ければ低いほど「見解が一致」。つまり曹叡さんがこのランキングに相応しくないと、だいたいのAIが認識してました。

 すまん曹叡。けどぼくは高堂隆さんがかわいそうなのでクソに入れたいんだ。



○49位 孫権(189-229-252 三国・呉大帝)


呉で後継者問題を招く。(DeepSeek)

問題は多いが、少なくとも「国体ぶっ壊した主犯」ではない。(ChatGPT)

晩年の失政はあるが全体としては名君。(Claude)

晩年の「二宮の変」による老害ムーブがあまりに酷い。陸遜を憤死させた件などで悪行ポイント加算。(Gemini)

呉建国者。晩年暗愚だが英雄。(Grok)

前半は名君だが晩年は猜疑心強く、後継争いを招いた。(Copilot)


偏差順位30:まぁまぁ一致

 みんな大好き二宮の変(諸説あります)! 呉を立ち上げこそしたものの、後継者争いを盛大に起こしたせいでその後の呉の国力を不安定にさせた点は、長期的目線で拾えば孫晧以上に国を破綻させてませんかみたいな気持ちにもなりますが、とはいえ呉が鼎立の足のひとつとなれたのも間違いなく孫権の功績なんですよね。クソ君主と呼ぶには功罪が相半ばし過ぎている、といったところです。いいことですね?

 頂戴したコメントとして「張昭の家の門燃やしてもそんなに順位が高くないんですね」というのがあり、確かにあれもだいぶキッツいムーヴだよなあ、と思ったんですが、まぁ上位クラスになると普通に張昭でも殺さないといけないのが厳しいところです。

 別に上位に入る必要ないですねこれ。



○48位 拓跋珪(371-386-409 五胡後期・北魏道武帝)


北魏建国だが後期は残忍。(DeepSeek)

問題は多いが、少なくとも「国体ぶっ壊した主犯」ではない。(ChatGPT)

晩年の猜疑心以外は有能。(Claude)

北魏の太祖だが、晩年は寒食散の中毒で発狂。自分の影を見て怯え、臣下を斬り殺す。(Gemini)

北魏道武帝。残虐だが建国功績。(Grok)

北魏建国者だが猜疑心強く残虐な面も。(Copilot)


偏差順位14:かなり分散

 で、かれが孫権で言う張昭クラスを殺した人です。なのに低い。というのも、北魏の創建皇帝なのです! つまり国がこのあと栄えたのでクソ君主度が低くなってます。なかなか上位陣に期待が持てるお話ですね。

 鮮卑拓跋部の長の家に生まれ、いちど前秦苻堅に国が滅ぼされるも、残された拓跋部遺民によってたかって冠として担がれ、即位。その四十年にも満たない生涯は戦、戦、戦。その上で鮮卑慕容部が抱えていた漢人官僚たちを抱え込んで漢人国家的な基礎を立ち上げるんですが、途中でストレスがマッハすぎて薬物中毒に。目の前にいる人間をなんとなく殺すレベルのやべーやつと化しました。「次は俺が殺される!」と危ぶんだ息子によって殺されたわけなんですが、多分アレ、もはや誰が拓跋珪を殺すかのチキンレースになってた気がします。



○47位 李寿(300-338-343 五胡中期・成漢昭文帝)


成漢で比較的有能だが悪行あり。(DeepSeek)

成都ローカルのやや厳しい君主くらいの位置づけ。(ChatGPT)

漢化政策を進めたが、無駄な宮殿造営などで国力を疲弊させた。(Gemini)

成漢を一時安定させた。甥を殺害したが統治は悪くない。簒奪者だが有能。(Claude)

成漢。無能・乱世寄与。(Grok)

成漢の凡庸君主、国を守れず。(Copilot)


偏差順位15:かなり分散

 五胡十六国前半、いわゆる蜀の地に興った成漢の王。ちなみにこの国の名前ですが、もともと成でした。成都の成、というわけですね。で、このひとが漢に変えちゃいました。後世の人たちは呼び方に困って前後の国号をつなげたわけですが、面倒がられて大勢的には蜀と呼ばれてます。

 成はその立ち上がりを李雄という五胡十六国時代を見渡してもトップ Tier とよんで差し支えない名君に牽引されたのですが、ともなるとその死後の後継者争いがヤバいわけです。その李雄のいとこであった李寿は継承権こそなかったものの寵愛を受け漢中に封じられ、漢王と呼ばれましたが、成都での後継者争いに巻き込まれ、身を危ぶみ簒奪。酷政とかも多く、次代に滅ぶ種まきをしたところもあるんですが、立場的に割と同情の余地ありということで順位は低め。

 成漢の王は、上にあと二人エントリされています。



○46位 姚興(366-394-416 五胡後期・後秦文桓帝)


後秦で比較的有能。(DeepSeek)

むしろそこそこ名君寄り。リストに入っているのが一番の不運かも。(ChatGPT)

むしろ名君寄り。(Claude)

基本的には名君だが、晩年に子供たちの争いを止められず国を傾けた。(Gemini)

後秦。残虐だが統治能力あり。(Grok)

比較的有能だが晩年は失政。(Copilot)


偏差順位7:評価不能

 劉備ほどじゃないけど「なんでこの人ぶっ込んでんの?」とAIから詰められる枠。言うて君主って結果で語らんといけんでしょ、同情の余地があるかどうかは別として、って考え方なんで入ります。五胡十六国時代後半、父親の後を引き継いで後秦の最盛期を現出させ(ちなみに Grok はどうも親父の姚萇と混同してます、親父ほど残虐ではないので)、また仏教の布教に大いなる貢献をしましたが、四方八方からの圧力にすり減らされ、その晩年にはもはや耄碌としか言いようのない判断ミスを連発。盛大に周辺諸国に付け入る隙を作りまくった上、さらにタチの悪いことに後継者問題でもやらかしました。

 後継者たる姚泓は、ランクこそ父親より上ですが、そもそもにして父親による、まるで殺意でもあったんじゃないかと言う足の引っ張りぶりによって地獄に落とされた印象があります。この辺の詳細はまた姚泓の回にて。真面目に頑張ろうとした人、ということで大目に見たいところはありますけど、ちょっと結果としての嫡男/自国いぢめがひどすぎてな……



○予告

 明日はD級上位。だんだんヤバ度が出てきます。メンツは呂光・司馬曜・司馬鄴・司馬炎・曹芳。晋の三連星が光r……って司馬熾と司馬鄴間違えてる!?


 いやあ、今気づきました。さすがに司馬鄴をクソ君主に入れるほど鬼ではないです。とはいえもうラインナップさせちゃったので、AIコメントを紹介するだけして司馬熾を紹介します。司馬熾ならもう少し高いランクに入ったろうなぁ……。

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