『 生きる意味を失った俺を生かしたのは異星人の美少女だった。』 〜それでも生きていていいんだと、彼女が言ってくれたから〜

霧饅じゅう

第一章 バーストハート・オブ・ジ・ガール!

番外編 聖夜の反則技♡

番外編


聖夜の反則技♡

(A Forbidden Trick on Holy Night❤︎)



.°.✴︎:・•・・+♦︎。°。°✳︎.。°✴︎。°。♢+•・.•:〜.*+◇



 「わああ……!すっごくきれい……」



 「ふっふーん。でしょう?」


 何故かぜんぶ自分がやってやりましたみたいな感じで、誇らしげな顔をするミノリ。それをノエマはまったく気にせずに言う。



 「街がいっぱいきらきらしてて……

お星さまみたいだねミノリ!」



 「はあぁ。あんたはまだまだお子さまだね〜 

ノエマ。」



「ほれっいこ。」


「わっ」


 冬休みの真っ只中。自然にお互いの指を絡め合い、恋人つなぎのまま二人の女子高生は歩き出した。



*・〜:・•・・+♦︎。°。°*.。°。°。♢+


 

 「お!いたいた!おーい!」



 「……!」



 ざっざっざっ ツルンッ



「あで!」


 「いっててて……」



 「ちょっと、だいじょぶー?!ミノリ〜!」


 

 「ほら。立てよ恥ずいなあ。もー」



 心配して駆けよるノエマと、凍った路面に倒れたミノリに手を差し出したのはーー



 「あっハガネちゃん!」


 「よお、ノエマ。元気だったか?」



 「あっ。うん!元気だよ!フィリムも連れ

て来ちゃった。」



「フィー!」


 フィリムはノエマのやたら大きなバックからちょっとだけ顔を見せた。



 「おーかわいいな。これが例の

 『 王子 』か?」


 と、ハガネはフィリムをやさしくなでる。



 「そうなの。こっそり連れてきちゃった。」



 「ちょと待てーい!」


 「「??」」


 「みんな……なんでいつも偉大なるあたしの存在をそやってスルーできるかな……」


「ミノリちゃんはただただ疑問ですよ……しかし!!」



 「だーうっせえなーミノ、ほら周りの人みんな見てっからやめろよもー」



 ショッピングモールの入り口付近にいたお客さんや、若いカップルたちが三人の微笑ましい姿を見て微笑んでいた。



 「ちなみに『 今日がなんの日 』か、あなたたちはちゃんと分かっているんですかぁ?そもそも」



 「あたりめーだろ。全国民が知っとるわ。んなこと。てか、なにキャラだよそれ」


 流石の幼馴染。ツッコミも的確である。


 「ちっちっち!甘いあまい!」


 ミノリのその仕草に若干イラッとするハガネ。



 「そう!今日は待ちに待った

 『 あの特別な日 』ーー



 「クリスマ……ぶほあっ!!!」


 「「!!?」」


 小学校低学年ぐらいのちびっ子集団が、ものすごい勢いで一斉に走って来てぶつかり、彼女を意図せず舞台から引きずり下ろした。



 「きゃあ!みてみて〜!

 『 サンタさん 』だあ!」


 「わーすげー『 サンタ 』

 ってまじにいるんだなあ!」


 わいのわいのわい!



 「ミノリ……」


 「やめえい!……そんな『 生類憐みの令しょうるいあわれみのれい 』みたいな目であたしをみるなノエマ!!かなしくなる!」



 その時だったーー



 ショッピングモール入り口の前でティッシュを配っていたその『 サンタさん 』が三人の元へと歩いて来る。



 そして三人の前に立ったやけに若い感じの『 サンタさん 』はこう言った。


 「あのー……ちがったらごめんなさい。もしかして、オラーティオ高校の……」


「えっなんで分かんの??こわっもしかしてサンタの皮をかぶったストーカー?!」



 「いや、ちがくてほらっ!オレ」


 と、『 若いサンタ 』がもこもこした白いひげをずらして顔を見せた。



 「「!!!」」


「ケンタじゃ〜ん!」


「てか、あんたこんなとこで何してんの?」


「やっぱな。ヴァンデミアの声、遠くからでも聞こえたからさ。……」


「あ!今オレ、バイトしてんの。ほら、これやるから使って。みんなの分もあるし。」


 と、ミノリにポケットティッシュを三人分ずつ手渡す『 サンタ 』ならぬケンタ。


「………」



「こんなんぜったいにちが〜〜〜う!!」



「「「!!?」」」



「こんなの『 理想のクリスマス 』じゃない……」



 『 サンタ 』からの思わぬプレゼントにがっくりと肩をおとしたミノリをハガネがなぐさめる。



 「ケンタ……君?おんなじクラスだよね?」


 「うえっ?!……はっはい!良かったらこれどぞ……」



 ミノリがノエマの耳元でなにやらこそこそとなにかを吹きこむ。


「な、なんだよおまえら……」



 すると、ノエマは意を決したようにクラスメイト=ケンタの目を上目づかいで見上げーー



 「ケンタ君……


 『 めりーくりすまーすっ♪ 』」


  ちゅっ♡


 と、片目を閉じてヘタクソな投げキッスをお見舞いした。いつの間にか降って来た雪がノエマの頬に偶然落ちて、ぽわんと淡く光っていた。



 「 あ。」



『 その瞬間、世界がスローモーションになった。』


 ばさばさばさっと手に抱えていたポケティが全部地面に散らばってーー


 そして、彼はこう思った。


 『私の人生にはもう悔いなど微塵もありません。なぜなら生まれてはじめてそのようなことを、しかも『 超絶美少女 』にされたからに他なりません。』


『神様、天使様、サンタさん。こんなに『 素敵なプレゼント 』をありがとうございます…』


 もしを予想できたとしても、その不意打ちをひとたび食らえば、誰しも彼のように天に向かって感謝を捧げることになるだろう……



 「あれ?ケンタ君?」


 「おーい」


 「だめだこりゃ。これは完全に『 男子特有の  

 

 症状 』だわ。」



「?」



「おい!ノエマ、ミノ先いくぞー」



「あっ!待ってハガネちゃ〜ん!」



 ちりん♪


 どこからともなく鈴の音が鳴ってーー



 ぴょんっ ぼん!



「?! あれ??変だな……ノエマ様?」


「フィリム……!だめだよ急に変身したら……」


「だああ!!バカ王子!」



「あっハガネちゃんがいっちゃう……」


「もお〜〜〜!!だれかーー


「わたしのクリスマスを返してくれえぇ!!」



 ミノリのその切実な祈りを聞き届けた後、ノエマとミノリ、フィリムは先にショッピングモールに入っていくハガネを追っていった。


*・〜:・•・・+♦︎。°。°*.。°。°。♢+✴︎


「ミノ、つーか今日まだ『 イヴ 』だかんな?」


「なっなにい!!?」


「ふふっ……あははは!」



 入り口から中に入ると、正面には様々な飾り付けをほどこされた大きな『 クリスマスツリー 』が立っていた。



「わあ……おっきいねー……」


「そーいや、ツリー見んのなんか超久々だわ私」


「……みんな勝手にたのしそうにしやがって!」


 そして、そのてっぺんに飾られた特別大きな

『 星 』が、まるで本物の星のようにキラリと輝いていた。



 ちりん♪



「ほっほ〜〜〜!」



 寒空の上で。だれかが忙しそうにしながら笑う声が聞こえた。



*・〜:・•・・+♦︎。°。°*.。°。°。♢+



 ✴︎皆さまへ


 いつもこの物語を気にかけてくださってありがとうございます♪ それでは良きクリスマスをお過ごしくださいっ!サンタはいます!(笑)


 「メリークリスマス!」


✳︎作者 霧饅じゅうより。


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