第20話 偉大なる全知の龍
第20話 偉大なる全知の龍
(Draco Magnificus)
・・+♦︎。°。°+•・.•:〜.✴︎✳︎❇︎✳︎✴︎
[ふあ〜あ。……ん〜ねむい。ん〜〜〜?]
『 ぼくの前にはみたこともない『 小さな生き物たち 』が20〜30ほど集まっていた。
みんなぼくの方を見つめている。その目はなぜか、なにかに
『 その中でも、ひときわ目をキラキラと輝かせる『 小さな生き物 』がぼくの前に立って言った 』
「や、やあ。気分は、……どう?」
[んあ、まあ……そんなに
わるくはないかなあ?]
「……!! そ、そうか。
……それは良かった。」
『 その『 小さな生き物 』は、なぜだかぼくを見てうれしそうに何度も頷いてる 』
[ところできみたちって……?]
[それに……ここは……?ぼくは]
[……なんなんだ?]
卵から孵ったその龍のまわりを囲む人々は、その事実を受け唖然とした。
「……き……君は……なにも……
覚えていないのか?」
[んん?……ああ。うん。
……えと……まずきみは……]
今やその背骨は湾曲し、白髪も薄くなり見る影もなくなっていた、白くて長い立派な髭を蓄えた
『 その老人 』が、龍に答える。
「……そう……か……。」
と、その老人は下を向いてしばし考えると、言葉を思い出したように掠れた声でこう続けた。
「……ああ。僕は、テネルクス。」
「テネルクスだよ。君を、
一番良く知っている『 人間 』だよ。」
「それと……君は、『 龍 』だ。名をーー
『「スキエンティア」=
ウンブリフェル・オブスクルクス・ドラコニス。』
「君はね。『 この世界をたった一人で守った 』 偉大な龍なんだよ。」
[ぼくは、龍?……スキエンティア?
っていう名前なの?]
「ッ……そうだよ。……スキエンティア!
ははっ……そうなんだよ……。」
『 その小さな生き物はぼくの前で
『 しわくちゃな顔 』で、
涙を流しながら笑った。』
そして、消えそうな声でまた話を始めた。
「……それとここは僕たち『 人間 』が住む
「君と僕が初めて出会った『 特別な場所 』
なんだよ。スキエンティア……」
「君は……ある日とても傷付いて、『 長い眠り 』についたんだ。……そして今日……やっと目覚めたんだ。」
その時、偉大なる全知の龍=スキエンティアは、
老人の話に耳を傾けながら、人々の後ろに立つ
『 三人と一匹の姿 』を朧気に捉えていた。
[『 だれかが、ぼくをみてる? 』 ]
[『 そこにいるきみたちは、』 ]
[『 いつの人たちなの? 』 ]
『 その時、からだが燃えるように熱くなるのを、ぼくは感じたんだ 』
老人は言葉を紡ぐ。
「君は必死に僕たちを……この『 地球 』を守ってくれたんだ。……だけど……すべての記憶を失くしてしまったんだね。……可哀想に。」
「この世界がいつかなくなって仕舞おうとも。
たとえ君が、僕たちのことを永遠に忘れ去った
としても。……君は……君はいつまでも僕のーー
「良き友人だよ」
「ああ、懐かしいな。スキエンティア……
おかえり……そして……」
「『 地球 』を救ってくれて、
本当に……感謝する……よ・・+♦︎。°。°+
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ーーーブォン
『 モノリス』によって光のスクリーンに映し出したその『 記憶 』は、光とともに消えていった。
ノエマとアルテナの光もゆっくりと止んでいく。
「「「「 ………… 」」」」
そこにいた全員が言葉を失くしていた。
光が消えた後も、目には『 真っ暗な残像 』だけが残って。遠い昔にここで再び目覚めた
『 偉大なる龍=スキエンティア 』と、
『 一人の老人 』の邂逅を目撃したという確かな事実が、静かに全員の心を震わせていた。
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「すげえ……なあ、超すごかったよな?!
今の。」
「……ああ、凄いなんてもんじゃないさ。
素晴らし過ぎるよ。」
「あれ?ノエマ?」
「………。」
プルーデンスは、溢れ出る涙を必死に抑えこもうと、何度も何度も目をこするノエマをそっとその胸に抱きとめた。
「うあああ〜〜〜………!!」
その後、ノエマは父の胸のなかで
ずっと泣きじゃくっていた。
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「なあ、先生よぉ。」
「なんだい、アルテナ?」
「ノエマ……眠ったのか?」
「あ、ああ。そうだね。泣きつかれちゃったみたいだ。ほんと、彼女がまだほんの赤ん坊だった頃を思い出すよ。」
とやわらかく微笑むプルーデンス。
「そ……そっか……先生、あのさ……」
「ん?」
「あの『 碑文 』……だっけ?あれ、たぶんさっきの……白髪のじっちゃんが残したんだと思う。」
「……?!なっ……なんだって?
アルテナ……それは、本当なのかい?」
「うん……あの碑文におれがさわった時さ、
分かったんだ。」
「先生には言わなかったけど……おれたちがここに来る前、森でさ、頭んなかで聞こえたんだよね」
『 次なる、真のアニュラスよ 』
『 鍵を示せ 』
「ってさ。………」
「……なんて……ことだ………。
他には?なにか、分かったのかい?」
「あとは……あの碑文にはこう書いてあんだ。」
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『 我が友、スキエンティア=
ウンブリフェル・オブスクルクス・ドラコニスに
捧ぐ。』
真なる観測者が 遙かなる時を越え再び
ここに至れりし時
我、影を導く光と成らん
その者は万物の終焉をも見通す
翠緑の眼を宿し
大宇宙の神秘
最初の龍 原初の記憶
を持つ者
真なる観測者よ
影と共に龍の谷の深淵へと続く
鍵をここに示し給え
さすれば其方の前に導かれし
偉大なる全知の龍が道を示さん
我ここに刻む。
Vale,amice
(さらば,我が良き友へ)
テネルクス=ルビヌス・アンブラエ
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「な……なんてことなんだ……スキエンティアだって?……確か、あの龍は……もうすでに………」
「先生?……なんか、分かったのか?」
「……ん?あ、ああ……君とノエマが……
『 龍の谷の超最新層 』=
『 超古代文明の深淵 』へと繋がる道を開く」
「『 鍵 』なんだってことがね。」
「おれとノエマが……カギ……」
「今日はもう遅い。ひとまず……
僕の部屋に戻って今夜は休むとしよう。」
こうして、プルーデンスは娘を背負い、フィリムはアルテナのあたまに乗っかって、元来た道を戻って行ったのであった。
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