SF好きの中でもブロマンスが読みたい方にご紹介したい作品です。
あるウイルスの萬栄により、文明が崩壊した世界。ウイルスに感染すると、自我を失い、身体中を花まみれにして襲い掛かる怪物となってしまう。運よくウイルスに適合した感染者は“花人間”と呼ばれ、独自のコミュニティを築いて生活をしている。
主人公のエディはそんな花人間のひとりだったが、彼にはひとつだけ違う点があった。花人間の特徴である花弁の髪ではなく、彼は茎の髪を持っているのだ。
とある事情からコミュニティを移り住んだエディは、未成年者が住む宿舎でクレイとヒースの二人と知り合い、行動を共にするようになっていた。クレイとヒースは幼馴染で、ヒースの感染を機に彼らは以前のコミュニティを追われたのだという。幼馴染が二人ともウイルスに適合し、花人間となったことをエディは幸運だと信じ、彼らの絆をうらやましくも大切に思っていた。
ある日、エディはクレイからハンター探しを手伝ってほしいと頼まれる。その珍しさからか、花人間を狩る人間が存在するのだとクレイは言う。
本当にハンターがいるのなら、それを探し出すのは危険な行為だ。エディはクレイを心配するヒースを想って説得するが、クレイは聞く耳を持つような性格ではなかった。ひとりで探すよりも、自分が手伝った方が安心できるだろう。そう思ったエディはクレイのハンター探しに協力するのだったが――。
荒廃した世界観もさることながら、一番の読みどころはなんといっても三人の関係性でしょう! エディがヒースと秘密を共有することで、均衡を保っていた彼らの友情は変化し、すれ違いを見せ始めます。危険を冒すクレイや彼を心配するヒース、そして裏切りともとれる行動をいとわないエディ。互いのことを大切にする想いが根底にあるため、そうした彼らのすれ違いに心をかき乱されます……!
章ごとに語り手が変わるのも本作の魅力のひとつです。第一章のエディ視点では彼を嫌悪しているように見えていたヒースの心情が第二章のヒース視点で明かされ、ヒースとエディが友情を深めていく様を楽しめます。また、ヒース視点では恐怖の対象にしか見えなかったものが第三章のクレイ視点で大きく印象を変化させます。そうした語り手の違いによる世界や人物の見え方は驚きとともに、物語を味わい深いものにしています。
まるで蔦のように絡む彼らの想いとストーリーは、じわじわと読者の心に根を張り、花を咲かせることでしょう!
現在、物語は第三章、クレイの章が終ったところです。衝撃の事実が明かされ、これから三人はどうなるのか……。
最後まで見守りたい作品です!