【登場人物】

ダグラス・アルハザード

階級は少佐。参謀本部遺品管理課所属の大尉だったが、僻地の駐屯地司令として左遷された。身内に議会議員と軍高官を持つエリート一族の嫡子であり、「跳ねっ返り」「顔だけの男」など悪名高い色男。

フィーア

階級は少尉。人間兵器「アーキテクト・ウェポン」の四番目で、名前もそれに由来する。「眼」の異能を持ち、遠見、透視、読心など「視る」ことに関する得意な力を使って独立戦争では敵兵を蹂躙した。戦死した直属の上官を今でも父と呼び慕う。

ウィルソン・ウィリアムズ

階級は中尉。大学を中退し士官学校へ入り直したのち、卒業後はダグラスの副官へ任じられる。建国の祖である初代国王を先祖に持つため、血筋に配慮された結果、戦場を知らない。

ヘブンリー01

アーキテクト・ウェポンの一番目。飛行に関する異能を持ち、大気圏はもちろん宇宙空間すら生身で自在に飛び回る。発動中はレーダー等で感知されない。弟妹を大切に思う一方、造物主たる人類に対しては冷淡で無関心。

グリモワール02

二番目。歩く生物兵器でありその体液は解毒不可能な毒物にも、細菌兵器にもなる。彼の血肉を用いたダーティボムが大量に生産され実戦で使用された。きょうだいの中で唯一成人男性体をしている。故郷へ置いてきた末っ子を案じている。

テンペスト03

三番目。現存する唯一の女性体。生きた天候兵器であり、落雷、旱魃、豪雨、竜巻等を任意で引き起こすことが可能。自分より大きな見た目をした末っ子のことを心配している。

フィフス

唯一初陣を経験しないうちにロストした、五番目になるはずだった末妹。人間兵器としても特異すぎる異能の持ち主だったが、双子のように育った兄を守るために力を喪失し機能停止に至る。参戦経験がないためコールサインを持たない。

エーリッヒ・オースティン

階級は大佐。他国の軍人だが共和国で人間兵器の研究開発に協力した。人間でありながら異能を持ち、その代償に不老で短命。防諜機関の長として自分を元に造られた無数のクローン兵士を従える。

【各国設定】

共和国

東側に属し、長らく連邦や公国の植民地として搾取される立場にあった。独立戦争に勝利したものの戦後の混乱、戦時経済の終焉に伴う不況、不況を理由とする社会不安や治安の悪化に苦しめられる。議会主導による軍縮と再戦を警戒する軍部の対立が激しい上、同盟国からも政治的圧力を受ける難しい立場に置かれている。

公国

盟主である連邦から莫大な支援を受けていながら、植民地だった共和国との戦争に敗北する。代々の大公による専制国家。強権で国内の不穏分子を抑えつけていたが敗戦により政情は一気に不安定化し、暴動やテロが絶えない。

連邦

東側の盟主として百年近い東西冷戦の最前線に立ち続けてきた。伝統的な共産主義国家で汚職と腐敗に悩まされている。共和国の独立を阻止するため公国を全面的にバックアップしていた。公国同様、反政府勢力を武力でコントロールできなくなりつつあり内憂外患に悩まされている。

帝国

帝室を象徴として掲げながらも近代民主主義を標榜し、世界の警察を謳う最強の軍隊を抱える。西側の勢力拡大を狙って独立戦争では共和国を強力に支援しつつ、見返りとして人間兵器に関するノウハウの提供と本体を無期限永久貸与されている。

【作中用語】

人間兵器

文字通り生きた人間を兵器化したもの。「試作機」とそのハイエンド機種である「アーキテクト・ウェポン」の二種が存在。試作機は生身の人間を施術し大量生産を可能とした廉価版で、アーキテクト・ウェポンは一体ずつ専用の調整を施したオーダーメイド品という区分がある。試作機は低コストな反面、個体差が激しくカタログスペック通りの効果を発揮できるかは未知数という欠点を抱える。アーキテクト・ウェポンは一から培養するという手間とコストがかかる一方、非常に強力で扱いやすいという特徴を持つ。なお人間兵器拡散防止条約が施行されたあとは、試作機は全数処分となりごく一部の個体以外は全て廃棄された。アーキテクト・ウェポンは四体のうち三体が帝国へ下げ渡され、唯一四番目のみ国内に保管されている。