第4話 魔力切れ

『…セル!!リセル!!!おい!起きろ!!!!』


 んあ…?もうちょっと寝たい…


『なに寝ぼけたことを言っている!もう日没だぞ!!!』


 ん…?日没…?



 俺は目をこすりながら体をゆっくり起こした。

 そしてアークトのほうを見る。


 ほほー、こりゃ綺麗な夕日ですな。

 赤色に染まっていて、眩しくも暗くもない、暖かい光だ…


『って!何を考えているんだ!!!早くしないと依頼が無効になるぞ!!!』


「あっ…」


「うおおおおおおおおお!!!めっちゃ忘れてた!!!!」


 俺は全速力でアークトに走って行った。



 ◇ ◇ ◇



『はははっ!本当に面白い!!』

「あんまり笑うなよ…」

『だって…だって…ふふふっ!』


 俺はクロエに起こされて、全速力でアークトに行った。

 そしてゼーゼーと息を吐きながら受付嬢に依頼達成したことを報告した。

 結構ギリギリだったらしく、まぁでも間に合ったということでお金はちゃんと支給してくれた。本当、ありがたい。


 そして念願の宿に泊まれて、ベッドに突っ伏してる状態だ。

 頭の中ではクロエの笑い声が響いている。少しだけ痛い。うん。


「あ、クロエ。あの気絶って」

『はははっ!……ん?、あぁそうだ。魔力切れだ。』

「だよな」


 もう笑うのをやめていただけますかね…と言おうと思ったけどやめておき、俺はベッドに寝っ転がった。

 そして、窓から見える夜景を眺める。



「なぁ、クロエ。」

『なんだ?』

「今日は、なんだかありがとな。おかげで宿に泊まれたし、飯はなくて腹減ってるけど、めっちゃ助かった。」

『飯はまた明日にお預けだな。それまで空腹紛らわしとけ。』

「なにをしたら紛らわせる?」

『どうせまた森のほうに行くんだから、その行く途中の草でも食っとけ。』

「うわっ、マジかよ…」



 俺は、クロエとそんな他愛もない話をして、就寝した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る