Future Meets Girl

かままる

第1話 邂逅

2025年6月―

 春が終わりを迎え夏の始まりを感じる梅雨の頃、私 荒瀬愛香あらせあいかはいつもと何ら変わらない平凡日々を送っていた。


 そんなある日の放課後、


「明日、数学の小テストだから勉強しないと。」


「嘘っ、わたし全然勉強してない!!」


「それいつもでしょー。」


「そうだけどさー。それじゃ、わたし部活行ってくるねー。」


「うん。いってらっしゃい。」


他愛もない話しのあと部活に行く親友の桜子を見送り、私は「このまま帰って勉強しようかな」「いや教室もどって参考書取りに行こうかな」と考えながらに校内を歩いていた。

何気ないそしてありふれた日常の一場面。

そんな時にその出来事は起こった。

私の目の前に少女が現れた。

それはまるでワープして来たと思わざるおえないほどに突然だった。



 信じられないと思う日まもなく、その少女は「愛香…」と私の名前を言いながら倒れ込んだ。「あなたは何者なの」とか「何で私の名前を知ってるの」とか聞きたいことは山のようにあったが、とりあえずその少女を保健室まで運ぶことにした。



****


「失礼しまーす。」


返事はなかった。

どうやら今日は保健室の先生が出張で保健室に誰もいない日だったみたいだ。

まあ、少女が現れたなんていう不思議な状況を説明しなくて済むと思うと内心安堵するしかない。

私はその少女をベッドに寝かせて少し様を見ることにした。

そうしながら「いったい何が起きているのか」とか「この子は大丈夫なのか」とかいろんな事に雑然と思考を巡らせているとあっという間に10数分たったようだ。

そんな時、少女が目を覚ました。


「私、倒れちゃったのか。あ、助けてくれてありがとね。」


「ううん、でも元気になったみたいでよかったよ。」


少女は元気そうで私は心配事が一つ消えた。


「あっ、そうだ。まだ私、名乗ってないよね。私は河凪かわなぎカナ。2203年から来た"未来人"。」


"未来人"…そのあまりに現実味のない言葉に驚きはしたが、あんなめちゃくちゃな登場の仕方をされたら信じるしかなかった。


「そうなんだね。」


そう言う以外に返答は思いつかなかった。


「私は、荒瀬愛香…」


私が名乗ろうとしたとき下校時刻のチャイムが2人だけの保健室に鳴り響いた。

現実味のない状況から一気に現実に引き戻されたみたいだ。

すると「こんなに時間がたっていたのか。そろそろ帰らないと」という考えも出てくる。


「私、もう帰らないといけないんだけど、もう少しここで休んでていいから。」


そして私はそう言い、足早に保健室をあとにして帰路へと着いた。



****



 河凪カナ、未来人。

一体なんなんだろう。

それに"未来人"という言葉に圧倒されて聞きたいことも一切聞けなかった。

そんなことを考えながら校門を出ようとしたとき。そのときだった何体もの謎の黒いが私の前に現れた。

その化け物は驚く間与えないような速さで私に襲いかかってきた。

そんな危機的な状況に、私は死を覚悟した。

その瞬間だった。


「間に合ってよかったー。」


カナが私の前に現れ、化け物を2、3体蹴り倒していった。


「体は大丈夫なの?」


あまりの驚きから少し的はずれな返答をしてしまった。


「そんなことはいいよ。絶対私が守ってみせる。」


その返答に対してカナはヒーローみたいなセリフで返した。


「愛香、下がってて。」


さっきとは違う目つきでそう告げてカナは化け物に向かって腕を伸ばした。



『ラムダ、装着。』



その掛け声とともにカナが指を鳴らすと、その手に着いた腕輪が光り、その光が彼女の体を包み込んだ。

するとカナの姿は西洋の騎士のようでありながら近未来的でもあるような、戦隊ヒーローみたいな姿に変わっていた。


 そしてカナは化け物の方に向かっていき両手に持った剣を振るい化け物を切り裂き、さらにそこに迫ってきたもう一体の化け物を蹴り倒した。

そして別の化け物が触手のようなものを伸ばすも意に返さないかのように触手をつかみ根元から切り、胸の部分を剣で貫いた。

カナは無敵ともいえるような立ち回りで化け物たちを圧倒し続けた。

飛び上がり回転を交えながら化け物2体ほどを切りつけると


「あと…3体くらいね。イッキにやっちゃおうか!」


カナは構えのようなポーズを取り、目では捉えられない速さで駆け抜け化け物を切り裂いていった。

これで謎の化け物はすべてカナの手で倒された。


「よし。これで終わりっと。」


カナは一仕事終えたようにそう言った。


 私は呆気にとられていると、カナは私に微笑み


「愛香、無事でよかった。」


と言った。


「ありがとう。助かった。」


「どういたしまして。それじゃ愛香、またね。」


そう言うとカナは私の前から去っていった。

「またね」という言葉に少し引っ掛かりつつも私はカナを見送った。



 その時、私は知らなかった。この出会いが私の運命を大きく変えることになるとは―



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Future Meets Girl かままる @keikaku452

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