新米女官リリルの主、王女セシリアはアストリウス国の国王レオナルド・フィリスに嫁ぐことに決まるが、輿入れする前に幼馴染のアレンに一目だけ会いたいと言い出す。そこで女性のように華奢で美しい弟の王子エリウスを替え玉として「数日だけの身代わり」としてレオナルド王のもとに送られる。そこにエリウスに秘めた想いを持つリリルも同行する。
予想以上にレオナルド王に溺愛されるエリウスとそれにヤキモキするリリムだが、王に対しての申し訳無さと自分も王を愛し始めていることに気が付き始めたエリウスとリリムの取った行動とは・・・!
愛ゆえに人は間違いを犯し、そしてそれを許す。
個性豊かなキャラクターの成長と全員が全員を愛する(家族愛、恋愛等様々)がゆえにすれ違う想いが本作の魅力だと思います。
女装して身代わり嫁入り、なんていう
ドタバタコメディでニヤニヤしながら読んでたら、気づけば、泥臭くも美しい
「人生の再起」を描く物語に化けていました。
か細い王子が、13回の門前払いに耐え。
献身的な女官が、自らも詩を学び成長する。
その過程が丁寧で、熱い。
「天狗山」でのトレーニング描写は秀逸。
少女を背負い、一歩ずつ坂を登るその歩みは
二人の絆が深まる音まで聞こえてきそうです。
単なる身代わりモノと侮るなかれ。
これは、運命に翻弄された二人が
自分の名前を捨て、自分の足で立ち上がるまでの
清々しいほどに真っ直ぐな成長譚です。
何かに挑戦し、折れそうな心を持っている人。
そして、誰かを支えたいと願うすべての人に。
彼らの「13回目の志願」をぜひ見届けてください。