第1話の冒頭「宇宙(そら)は、きれいすぎた」という一文が完璧だ。燃える故郷の惑星を病院の窓越しに見つめる12歳の少年——その状況で「きれいすぎた」という言葉が出てくることの残酷さと詩情が、この作品全体の文体を一行で証明している。そして帝国の軍人が目を逸らした「一瞬」を見逃さないアレクの鋭さが、少年の静かな怒りをさらに際立たせていた。
第2話では十年後のアレクが、小型戦艦〈レクイエム〉で生存確率11%の小惑星帯に突入するシーンが圧巻だ。AI「ノクターン」との掛け合いのテンポが心地よく、機関士ラドの悲鳴がコミカルに響く中で、「十年前から、星の落ち方には詳しいんだ」という一言が突き刺さる。笑いと苦さが同じ台詞に同居するこの巧みさが、アレクというキャラクターの深みを物語っている。
第1話から第2話への十年の飛躍が実に鮮やかだ。幼い誓いの場面と、それを果たすために生き抜いた十年の結晶としての「今のアレク」を、説明なしに読者に伝える構成がよく練られている。故郷への愛着と喪失感が、戦闘中の細かい行動——コクピットの写真を見る仕草など——に自然と滲んでいた。
宇宙を舞台にした作品を書く者として、「星が燃える」という光景の持つ重さを強く意識している。本作はその重さを正面から引き受けながら、アレクという一人の人間の内側に光を当てることで、宇宙規模の物語を人間のスケールで語り直すことに成功している。続きが読みたくなる力強い出発点だ。