買い取り
めにっと
記憶
モバイルバッテリーで充電しながら待っていると目の前を田中が通りすぎる
「おーい、止まれって、おい!すぎてるって」
松本は集合場所に決めていた場所から過ぎていく田中の腕を掴む
「急になんですか?」
ゴミを見るような目でこちらを見てくる田中に松本は
「なんですかってなんだよ、連絡返さなかったのはごめんて」
田中から昨晩から連絡が何件も来ていたが鬱陶しくそのまま寝たため返事は返していなかった。
おまけに充電器に刺さずに寝たため起きた時にはアラームがかろうじてなるぐらいの充電しか残っていなかった。
「?」
田中は不思議そうに松本を見た後すぐに歩き出した
「まぁ、とりあえず行こうぜ!っておい!無視すんなって、歩くの速いって」
自分のことを置いていく田中の後を急いで追う
自分から会話を試みるが全て無視され、会話は弾まず気まずい時間が続くがそれが嫌でどうにか話題を出すために携帯のなかの写真を漁っているとちょうどいいのがあった
「なぁ、これ知ってるか?」
松本は携帯の画面を田中に見せる
「だから何で…」
田中は顔に携帯の画面をぐっと近づけられる
「ちょ近い…」
画面にはあるチラシの写真が田中の目に留まった
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「何ですかこれ」
ようやく食いついてくれたと思い会話をする
「どう思う?」
「記憶を売る人なんていませんよ」
田中は無難な返事しか返してくれないがそれでも嬉しかった
「だよな笑」
松本は田中が少しは許してくれたかなと思っていると田中が話しかけてきた
「あの、ずっと気になったので言いますね」
「おう!何でも言ってくれ」
返信のことで何か言われると思いすこし身構えると
「急に腕を引っ張った上に何でタメ口で話しかけてきたんですか?あなたはなんなんですか?はっきりいって迷惑ですよ」
と言ってきて少し戸惑ったが
「腕を引っ張ったのは待ち合わせ場所の前をお前が通りすぎて、呼んでも反応なかったからな。それにタメ口?俺たちは友達だろ?」
と会話を続ける
「友達?何を言ってるんですか?」
田中にとって自分は友達ではなくなってしまったのだと思った。でも違った
「あなたみたいな友達は私にはいませんよ?
連絡先もなければさっきは無視してましたけど一緒に旅行なんて行った覚えないですよ?誰かと間違えてませんか?勘違いじゃないですか?」
確かに田中の顔をして声も同じである
見覚えのある携帯、見覚えのあるバック、田中にのために作ってあげたネックレスも持ってる
だけど田中ってこんな服持ってたっけ
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