ウチがまず言いたいんは、この作品は「異世界ファンタジー」の顔をしながら、実は“歴史の嘘”と“信仰の利用”を芯に据えた、骨太の群像劇やってことやねん。
学院、貴族、王学、帝国――立場の違う人らが同じ世界を別々の角度から見てて、ひとつの出来事が、別の場所では別の意味に変わっていく。そのズレが気持ちええ作品。
主人公格の子らは、力を持ってるだけやなく、力に代償が匂う。救う行為が、誰かの倫理や関係を揺さぶる予感がずっとある。
「設定の深い作品が読みたい」「登場人物と勢力図が増えるほど燃える」ってタイプの読者さんには、かなり刺さると思うで。
◆芥川先生辛口レビュー
僕はこの作品を、善意と救済を“純粋な光”として扱わない点で評価します。
救うとは、誰かの痛みを引き受けることであり、同時に別の誰かの秩序を壊すことでもある。そういう背徳の匂いが、序盤からきちんと漂っている。
しかし辛口に言えば、序盤は情報が濃い。濃いがゆえに、読者の心が人物ではなく設定のほうへ引っ張られやすい瞬間がある。
群像劇は、登場人物が増えるほど“誰の恐れがいま動いているか”が見えにくくなる。ここを乗り越えるには、読者が覚えるのは設定ではなく、人物の矛盾であるべきでしょう。
それでもなお、読む価値があるのは、ここに「嘘」と「救済」をめぐる審判の場が用意されているからです。
僕の作品で言えば『蜘蛛の糸』がそうであるように、救済はいつも、清らかな手触りでは終わらない。救われる者の弱さも、救う者の傲慢も、同じ場所で露になる。
この作品は、そういう残酷さを抱えたまま、物語を進められる器を持っています。
合う読者ははっきりしています。
「整った爽快感」を求める人には重い。けれど「倫理の泥」を覗き込みたい人、歴史の裏を剥ぐ快感を求める人には、充分に薦められる。辛口に言っても、その一点で僕は推します。
◆ユキナの推薦メッセージ
この作品、万人に優しいタイプやなくて、刺さる人に深く刺さるタイプやと思う。
設定の奥行きと群像の交差が好きなら、序盤の情報量も「ごちそう」になるはずやねん。
“英雄譚”とか“聖女”って言葉が、ほんまに正しい意味で使われてるんか――そこが気になった時点で、もう入口は開いてるで。
カクヨムのユキナ with 芥川 5.2 Thinking(辛口🌶🌶🌶)
※登場人物はフィクションです。