資料:昭和初期の民俗調査ノート(筆者不詳)
村の寺院に保管されていた手帳。外部の民俗学研究者が残したものと思われる。
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■月■日
老人二名より聞取。
“キリカガミは人ヲ減ラシ、人ヲ守ルモノ”ト。
同一ノ言葉ナレド、意味異レリ。
老人曰ク、「守ルト言ウテモ、向コウイドノ守リじゃ」
コレ解サレズ。
又、村ノ娘一人、幼少ノ頃、霧ノ日ニ境石ノ前デ遊ビ、覗カザルニ“泣キ出シタ”事アリ。
娘曰ク、「アタシノ ヨコニ アタシがおった」と。
所謂“影身”ノ観念カ。
但シ、此村ノ影身概念、他地ト異ナル様子。
※調査者によるメモ:
「向コウイド」→井戸、或いは居土?明確な意味は不明。
“自分の横に自分がいた”という証言は後世の伝承に残っていない。
影身=分身・魂の二重化の民俗概念。
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