津々浦々! 日乃本学園!
ハギヅキ ヱリカ
第1話【ようこそ!】
「……じゃ、カメラ回すまで、3、2、1……」
『はぁ~い! 皆さんこんにちは! 愛媛みかんです! 今日は、この素敵な
(廊下を歩く少女をカメラが追いかける)
『ででんっ! はい、まずはみんな大好き給食室です! この部屋はですね~、文字通り、みんなのお昼ご飯を作る場所ですよ~! おぉっ!? 誰かいるようですね、覗いてみましょうか。お邪魔しまーす!』
ガラガラガラ……(木造の扉を開ける音)
「ぶっかけ♪
「バリカタ♪ ハリガネ♪ 粉落とし~♪」
「アカンアカン! なんやそれ! 麺を入れて、その上に小麦粉の皮を乗せるぅ~!? 炭水化物のパレードやないか! そないなもん食ったらデブまっしぐらや!!」
「なぁにい!? うちはこれが普通じゃ! そっちの薄っぺらいもんこそなんじゃ! 食いもんは腹に溜まってこそじゃ!
「ねえこむぎ、うどんまだ~? あ、そうそう麺と言えばあたしの所にはご当地麺料理のじゃじゃ麺っていうのがあってねこれがまたすっごくおいしんだけど~あ、おいしいといえばやっぱりわんこそばは絶対外せないわよね! あとは盛岡冷麺とか前沢牛とかあわびとかたくさんあるんだけどねあ、そうそう宮沢賢治先生もいろんなお食事を…………」
「……きひひ。この新たに開発した納豆を食べさせれば、きっとスカイ様もわたしに振り向いてくれるはず……きっひ、きっひひひひ………………ってくっさ! 練りすぎたっぺ!!」
変な歌を歌いながら寸胴鍋を混ぜているのが二人と、ジュウジュウ焼けるお好み焼きを前にいがみ合っている二人。そして、宮沢賢治の本を手にマシンガントークをしているのが一人。部屋の隅では、陰鬱そうな少女がねりねりと納豆を練っている。
『…………』
ガラガラガラ……ピシャン(扉を閉める音)
『え、えーっと……き、教室の方に行ってみましょうか!』
「もう許せん! あったまきた! 表出え!」
「上等じゃ!」
ガラガラガラ……(扉が開き、言い合っていた二人が出てくる)
「うちのフルスイングで泣かしちゃる。今更土下座したって遅いからな」
「はっ。誰に言うとんじゃ。こっちにゃミスター赤ヘルの力があるんぞ。強そうなんは見かけだけか。虎やと思ったらデカい猫なんか」
「んなにをぉ……!? こっちは朝昼晩、猛〇伝説プレイしとるんや! そっちなんか吉本〇喜劇が始まるCMの間に捻り潰しちゃるわ!」
金属バットを担いだ二人は、愛媛みかんに気づかないままどこかへと歩き去っていく……。
『あ……え、っと……ねえ、これまだ続けるの……?』
愛媛みかんは、チラッとカメラの方を見た。
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