臨時職員の音声データ文字起こし
指示役 月田 「」
調査役 村木 『』
『………あー、あー、トランシーバーテス、トランシーバーテス』
「聞こえている、村木」
『はぁ…なんで俺がこんな汚れ仕事をしなきゃならんのだ…』
「口を慎め、村木。お前は雇われの身なんだ。それに、この会話は聞かれている。」
『はいはい、わかった分かった。やればいいんでしょ、やれば』
「お前な…はぁ、いいからさっさと調査しろ。こっちだって都市伝説まがいの調査の指示なんかしたくねえ。さっさと終わらせろ。」
『この会話は聞かれてんじゃないのか?矛盾オリンピックだったら高得点だったぞ。
はぁ、盗聴されるのは気分が悪いな。さっさと終わらせよう。ちょっくら行ってくるぜ。』
「田舎の山でも万が一のことはある。くれぐれも気をつけろ。」
『ふう、ちょっと疲れた。ちょっくらひと休みー。あ、あと前に地蔵の群れが見えるとこまで来たぞ。』
「30分近くかけてこのペースか。お前、体がだいぶなまってるな」
『止まらずずっと歩いたわけじゃねえよ。腰か頭が悪いジジババに愛想よく話聞いてきたんだよ。あ、言っとくが成果はなし。』
「そうか。ところで、本当に成果はなかったのか?話しかけた人数にもよるが、一人はなにか知っててもおかしくないと思うんだが。」
『一人もだよ!おかげで武装して変なこと聞いてくるヤバいやつだと思われちまったよ!大体、なんだよこの装備!重すぎるし丁寧な武装しやがって、この格好考えた奴は山登ったことねーのかよ!クソが!なんでこんな重たいゴミ背負ってわけのわからんことを』
「落ち着け、村木。すぐカッとなるのはお前の悪い癖だ。それに、その武装は田辺純彦の件を受けてお前の無事のために俺が提案したんだ。」
『………』
「この件についてはできるだけ慎重にいこうと思ったんだ…それにここは熊が出るらしいぞ。」
『……月田さん、俺を子供だと思ってんのか?そんなヤワな男じゃねえよ。』
「ああ、俺はお前をクソガキだと思ってるぞ。
わかったら、さっさと行け。休憩はもう終わりだぞ。」
『ハッ、仰せのままに、クソ司令塔様。』
「おい、村木。まだ例の地点には着かないのか、予定時間はもうとっくに超えてるぞ。」
「村木?聞こえるか?」
「おい、村木!村木!応答せよ!」
『すまない、月田さん。実はとっくの前に例の地点には着いてたんだよ。』
「じゃあ、なぜ報告しなかった?例の地点に着いた時と成果があった時は連絡する筈だろ!」
『それはそうなんだが…彼らに失礼かと思ってな、連絡できなかったんだ。』
「彼ら?一体何があったんだ?村木」
『あぁ…えっと、順を追って説明する。
まず、俺は駅前の長い交差点くらいの距離に女を見たんだよ。下着みたいなうっすい服着てて…多分180、いやもっとあるか?…まぁ、とにかくそんぐらいあるでけえ痴女だ。俺、あまりに怪しいそいつに気を取られてな、派手にすっ転んだんだ。』
「…話の途中にすまんが、それはいつの話だ。」
『えーっと…悪いが俺は時間に囚われない男なんだ。あ、でも近くに池があったと思う。俺のスピードが正確に分かれば時間がわかるぞ。』
「そうか。続けろ。」
『えーっと…どこまで話したか…あ、そうだ思い出した。すっ転んだあと俺は後ろから声かけられたんだ。眼帯をかけた人畜無害の擬人化
男バージョンがそこに立っていたよ。』
「その男の年齢は?」
『そ、(砂嵐の音)れと、(耳がキーンとするような高音)じゅぐ い』
「ああ…電波が悪い。村木、聞こえるかー?
電波が悪いからもう一度」
『み 家をつ(枯れ葉を踏むような音)しみ村はいい(風のような音)まだいる ゆめを (耳がキーンとするような高音)』
「おい、村木?村木!?」
『いじょうぶ ひが ひがきて (水の流れるような音) みえる ほしがほしが』
「何があったんだ!?くそっ、おい、おい!」
『とても きれ(燃えるような音、なおここで通信が完全に消える)』
「おい、おい!誰でもいいから早く行かせろ!一刻を争う事態なんだよ!チンタラしてんじゃねえ、ぶちのめすぞ!」
※音声データはここで終了している。なお、調査が開始したのが14時21分、電波が悪くなったのが16時2分である。なお、村木隼は鹿三菜山のふもとのベンチに眠るように死亡していた。
死因は眼球と腹に複数つけられた浅い傷による失血死である。また、田辺純彦とほぼ同じ内容の2枚の文書がポケットに入っていた。異なる点は『田邊純彦』と書かれた部分が『邑木隼』となっていた。
(資料に貼り付けられた付箋)
1時間なんの連絡もせず放置した月田ってやつ無能すぎるだろ スギ
田辺純彦の資料もっかい取りに行くのめんどくせえよ資料にもっかい書いとけよ ハラモト
村木隼は星見村とその怪異?に深く関わったから殺されたのか?それなら田辺純彦はなんで星見村に深く関わったのだろうか ササハラ
↑それな、吾川郷土資料館も博物館もまだ入手していなかったのにどうやって星見村に深く関われたんだ? ミマサカ
よく考えろよ、別にたまたま山登りして深く行きすぎて星見村に誤って関わったかもしれねえだろ スギ
そもそも、俺らは星見村っていういわばミスリード的情報に引っかかってるだけで、山登りに来た奴を殺すただの殺人犯かもよ? キダ
話が長くなりそうだ、ここじゃなくて次の会議に話し合おう。 タナベ ミツ
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