機械のおもいで

Tomioka

プロローグ

頬が、ズキズキと脈打っている。

顔は熱を持っているのに、躰は氷のように冷たかった。


「なあ、殺していいか!?」


鋭い声が鼓膜を震わせる。


早急に最適解を見つけなくてはならない。

今度こそ、最良のアルゴリズムを実行しなければ。


「私が産んだんだから、私が殺すのも自由だよな!?」


あまりの大声に、耳の奥がジリジリする。


「だって、お互い様じゃないの!」

「どれだけあんたに振り回されたと思ってるの?」


母の口から次々と発される言葉の数々。

そろそろ、許容過負荷を超えてしまう。


「おい!!」


突然、背中に鈍い衝撃が走る。胸ぐらを掴まれた私は、壁に押し付けられた。強い威圧。母の目には、狂気が宿っている。


「もうさあ、文句があるなら出ていけよ!!」


そんなことを言われても、行くあてなどなかった。


思い出すだけで息が苦しくなる。


けれども、それも含めて私の人生だと、今は思える。

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