ひとつがふたつになるおはなし。

燃える瞳の先には、闇に包まれた大地が在った。

暗闇の中で凍え、揺れる声に、瞳が光を差し込む。

光が闇に立った。

光と闇が交わり、狭間が生まれた。

狭間は揺れ、差異をもたらした。

昼と夜が、光と影が、熱と冷えが。

交わる光と闇に二つ、形が生まれた。

夜を照らす灯と、熱なき者たち。

灯が声に熱を与え、夜は熱なきものたちを包んだ。

声はやがて命となり、熱なきものたちは、命と共に在った。

命は燃える瞳を父と、闇を母と呼び、

灯を姉と、熱なきものたちを兄と呼んだ。


命は狭間に立ち、姉と兄の生まれた割れ目に触れた。

命は揺らぎ、命の形が欠けた。

灯と熱なきものたちが命の前に立った。

灯が消えゆく命に力を与えた。

熱なきものたちは命に形を与えた。

そして──命が、割れた。


燃える瞳が熱なきものたちを照らし出し、闇は包み隠した。

灯と熱なきものたちは、割れ、砕けた命にそれぞれ輪郭を与えた。

灯は燃える瞳の元、立ち上がった。

熱なきものたちは包む闇より離れ、燃える瞳へと抗った。

昼と夜が裂け、絶たれた。

灯が導く命の系譜と、熱なきものたちを崇める命の系譜との隔たりは、ここより始まった。

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