流水

いとい・ひだまり

流水

逃げていく

指の間から

ぽろぽろ、するする


水も風もあなたもみんな

どうして逃げる?


それはきっと

わたしのことが

好きじゃなかったから


なんて

不幸な解釈をしてもいい


けれど違うよ

逃げたんじゃないよ


だってあの人はしっかりと

わたしを愛してくれたから

ただの人としてだって構わなかったよ


元々あったあの人の生に

わたしが少し

入り込んだだけ


邪魔者と弾かず

触れてくれた、見てくれた


教えてくれた

あなたのことを


それだけでもう

十分と思えた

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流水 いとい・ひだまり @iroito_hidamari

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