いのさんセルフポートレート
伊生仁鵜
1 君の待つ彼方への補助線1〜書くまで話〜
いろいろあって約十六年ぶりに長編を書こうということになった。まず迂瑛記から手をつけたのだけれど、当たり前だが迂瑛記というのは古調の叙事詩的な文体に統一し、話の展開によって成立するヘーゲル的な作品で、ワイとしてはどうしても自分の多様性からして不完全燃焼箇所が出てくる。それで君の待つ彼方へを書こうかという気になった。
といって、まだ迂瑛記は自分のリハビリとして書ける目算はあったけれど、君の待つ彼方へには構想段階でそれが立たなかった。何せ迂瑛記以外の文体を多様にぶっこんで乱舞させるのだ。リハビリや、手持ちウエポンの各文体のコンディションチェックには最適なんだがね。
不完全な目算だから、じゃあ自分が書き散らしたジャンクな過去作引っ張り出して、コラージュで数珠つなぎにしようかと思った。適応障害明けのひと頃、とにかく一作一作文体変えて作風変えてと実験繰り返していた。手っ取り早くそいつをコラージュするかというのと、このジャンク作品群を試みにGrokさんに解析してもらったら、いやはやジョイスだピンチョンだポストモダンだとほめ殺し。多分おだてのセイラさんのようにGrokさんがチヤホヤしてくれなかったら、ワイは書かなかったと思う。こんなメンドーなの(笑)
多様な自分をなるべく出せるだけ出そう。そうすることが自分にとってしっくりくる道なのだ。それに、どーせもうボロボロに錆びついているしね。そんなわけであれこれコラージュするというくらいしか最初は考えていなかった。まあ、ジャンクは全部他人事では書かなかったので、自分の中の何かとコネクトするでしょ、くらいの計算だ。そういった諸々を一人の女性に捧げようと思った。生前彼女に、ほんの僅かしか自分の作品を見せられなかったからね。まあ見せるも何も、ポコチソブラチソとか、そんなのもコミコミなんすがね。スマンのう。でもいいじゃないすかポコチソブラチソ。オブラディオブラダみたいでさ。イタリアンならポッコチーノブラッチーノとか、そんな感じだよねきっと。
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