続・拝啓大好きな君へ

清ピン

第1話⋯高校2年生のクリスマス

―六人で迎える、特別な夜―


12月24日。

朝から街はクリスマス一色で、教室もどこか浮き足立っていた。

終業式を終えて解放された高校2年生の私達6人は、

「夜はカップルごとに過ごすとして、まずはみんなで集まろう!」

という話になり、いつもの駄菓子屋へ集合していた。


駄菓子屋の外では、薄く雪が舞っている。




駄菓子屋前


優太「おーし!メリクリだな、みんな!」


輝「雪とか、最高じゃん。なんかドラマみたいだな」


明「夜のイルミネーションまでに回る場所、決めとこうぜ」


楓「えへへ~。今日は楽しもうね、優太!」


百合「もんじゃも、後で食べようね。クリスマスでも絶対食べて帰るから」


愛「うん!!6人で過ごすクリスマスって、なんか嬉しいよね」


6人集まると、本当に家族より家族みたいだと楓は思った。


昨年は結局私の家でのクリスマスだったからとても新鮮だった。


午後――街のイルミネーションへ


中心街へ移動すると、広場一面にイルミネーションが灯り始めていた。

青と白の光が雪の粒に反射して、まるで映画のワンシーン!!


観光牧場でのにぎやかな思い出から数ヶ月。

今は冬の冷たい空気が頬に当たるけど、6人でいると不思議と温かい。


百合「うわぁ……きれい……」


輝「百合ちゃん、はい。手、冷えてるだろ?」


百合は少し赤くなりながら輝の手を握った。


大きなツリーの下で


広場の中央にある大きなクリスマスツリー。

誰が言い出したのか分からず、自然とカップルごとに並んで座っていた。


◇明と愛


愛「明くん、去年より少し身長伸びた?」


明「ん?たぶん伸びた。愛ちゃんは……可愛さが増した?」


愛「ちょっと!それは反則!」


恥ずかしそうにしながらも愛は肩を寄せる。


◇輝と百合


輝「百合ちゃん、今日のマフラー似合ってるな」


百合「輝が選んでくれたやつだもん……似合わなかったら怒るよ?」


輝「いや、最高に似合ってる」


百合は照れくさそうに輝の腕にくっついた。


◇優太と楓


楓はツリーの光を見ながら、そっと優太の袖を引いた。


楓「……優太、手……つなご?」


優太「言うと思ってた。ほら」


繋いだ手は冷たかったけれど、すぐに温かさが伝わってきた。


楓(小声)「ねぇ……クリスマスをこんなに楽しみにしたの、初めてかも」


優太「俺も。……楓と一緒だからだよ」


ツリーの光が2人の表情を柔らかく染めた。


◆プレゼント交換


広場の隅にある屋根付きベンチで、6人は小さなプレゼント交換をすることにした。


明「じゃ、俺から。愛ちゃん、はい」


箱を開けると、薄いピンク色のニット帽。


愛「可愛い……! ありがとう、明くん」


輝「百合ちゃん、これ」


袋には手袋が入っていた。外側は紺で裏地はふわふわ。


百合「あったかい……!輝、ありがと!」


優太は少し照れたように、楓に小さな箱を手渡す。


優太「楓、メリークリスマス。開けてみ?」


開けると、雪の結晶を模した小さな銀のネックレス。


楓「……優太……綺麗……っ」


胸がじんわりと温かくなり、思わず優太の肩にもたれた。


優太(照れ)「似合いそうだなって思ってさ。つけてやるよ」


優太がそっとネックレスをつけてくれた瞬間、

楓の目にはほんの少し涙が浮かんだ。


◆6人での写真


明がスマホを取り出した。


明「はいはい、カップル写真じゃなくて6人写真も撮ろうぜ!」


輝「それ大事だわ!」


ツリーの前で肩を寄せ合い、6人で笑顔の写真を撮る。


シャッター音は“今だけの宝物”を閉じ込める音に思えた。


◆いつもの駄菓子屋へ


クリスマスでも、結局ここに帰ってくる。


駄菓子屋のおばちゃん「あらぁ~あんたたち、クリスマスでも来るのねぇ!」


6人「はははは!」


もんじゃ焼きを囲み、熱々の鉄板から上がる湯気に包まれながら

夜はゆっくりと更けていく。


楓「楽しかったなぁ……」


優太「あぁ。最高だったな。来年も……6人で過ごそうぜ」


明「もちろんだろ!」


輝「絶対な!」


百合・愛「うん!」


その“来年も一緒に”という言葉は、6人にとって何よりのクリスマスプレゼントだった。


◆帰り道――雪の中で


駄菓子屋を出ると、しんしんと雪が降り始めていた。


家までの道、優太と楓はゆっくり歩く。


楓「今日、ホントに……幸せだった」


優太「俺もだよ。クリスマスって……こんなに良いもんなんだな」


ふわりと雪が楓の肩に落ちる。


優太「楓、来年も、その次も……ずっと一緒にいような」


楓「うん……約束、だよ?」


二人は手を繋いだまま、静かなクリスマスの夜道を歩いて帰った。


六人で過ごすクリスマス。

恋人であり、親友であり、家族でもある6人にとって、忘れられない一日となった。

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