幸運と不運の天秤座:ラッキーとアンラッキーのリブラ

しわす五一

プロローグ:不平等の理(ことわり)

悪いことがあった後は、良いことがある?


運の総量は人それぞれで決まっていて、小さな幸運を使い果たすと、本当に大事な時に運がなくなる?


本当に?


もし、すべての人間が生まれた時に同じ量の運を与えられていて、悪いことの後には必ず良いことが起き、良いことの後には必ず悪いことが起きるのだとしたら。


もし世界が、そのことわりの通りなら、この世界はおかしい。


赤ちゃんのまま死ぬ悲しいニュースなんてあるわけがない。


虐待されて、愛を知らずに死ぬ子どもなんているわけがない。


だから、元々人の運の量なんて決まっているはずがないんだ。


世界は残酷で、不平等だ。不運は偏り、幸運は一部の者に集中する。


人間には、その運の流れをどうすることもできない。


そう、私は思っていた。


あの、非現実的な出来事に出会う日までは。

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