川口梅之丞幕末青春群青物語
歴天狗
第15話 鼻の高い男
長崎に来て約一週間が経ち、今日も龍馬さんに一緒に行こうと誘われた。
着いたのは、見たこともない花や植物などがある西洋の大きな屋敷だった。
すると、中から坂本様オマチシテオリマシタ。とカタコトな日本語で話す西洋人だった。
見た目は、龍馬さんより少し背が高く6尺(180cm)以上はあり、目は青く、鼻は高く、茶髪で西洋の服を着ている男性だった。
サァ、ナカへドウゾ。と招いてきた。
招かれて屋敷の中に入ると、西洋の寝台(ベット)やたんす、机や椅子などがあった。
オヤ、坂本様オトナリノ、オワカイオカタハ?と言った。
梅之丞が挨拶をした。
川口梅之丞と申します。今は、坂本さんの補佐をしています。
と挨拶した。
すると、西洋人は
ハジメマシテ。ワタクシは、トーマス・グラバー、トモウシマス。イゴ、オミシリオキヲ。
と挨拶して向こうが手を差し出して来た。
龍馬さんは、シェイクハンド(握手)いうがじゃ。まぁ、異国の挨拶みたいなもんぜよ。
と言って梅之丞はグラバーとシェイクハンドをした。
しばらくして、部屋の内装や家具、しゃべる言葉などに目まぐるしく圧倒され、まるで日本じゃないような感じがし視界がぐわんとして倒れてしまった。
目覚めた時はもう夕方になっていて梅之丞は、寝台に横たわっていた。
すると、扉が開いて龍馬さんが入って来て、梅之丞は起きあがろうとしたが龍馬さんは、あ、えいき、えいき、そのままで眠っとうせと言ったので再び横たわった。
龍馬さん、今日はすみませんでした。と、梅之丞は謝った。
すると、気にせんていいき。見慣れんものを見て圧倒されて倒れてしまうがは、仕方がないき。と、はっと笑いながら言った。
それと、と龍馬さんが言った。
明後日から福岡の太宰府に行ってそしてそのまま京にいくき。と言った。
もう、そろそろ帰ろうと龍馬さんが言ったとき…
おぉ、そうじゃそうじゃ。夜から、小曽根英四郎さんと、とき屋に行く約束をしとった。と龍馬さんが思い出して言った。
一緒に行こうと言われ、梅之丞は
はいっ。と答えた。
すると、龍馬は梅之丞のこの応答に
(どうしたがじゃ。いきなり元気に返事しおって)と思った。
そして、夜になり
梅之丞は、龍馬に連れられとき屋にやって来た。
小曽根英四郎さんは、もう座敷に入っていたようで女将に案内されて座敷に入るなり小曽根英四郎さんと茉莉がいた。
英四郎が、茉莉の近くに梅之丞を行かせた。
梅之丞が茉莉と普段は見ることもない笑顔で話している様子をみて龍馬は、(なるほどなー)と思い、英四郎に梅の字にも、馴染みの舞妓がおるとはのぉーと言った。
無論、梅之丞は気づいていない。
すると英四郎が坂本さん違いますよ。梅之丞さんが茉莉殿をお助けになられたのですと言った。
すると、龍馬はほぉーそうかえと言い。英四郎に酌をしてもらい酒を飲んだ。
龍馬は、梅之丞が茉莉と話しているのを見て梅之丞が茉莉に特別な感情を抱いているように見えた。
梅之丞が、茉莉に酌をしてもらって酒を飲んでいるとき茉莉に、あそこにおられるのが梅之丞しゃまのご上司の方ですか。と龍馬の方に顔を向けた。
梅之丞が、そうだよ。僕が日本で一番尊敬している坂本龍馬という人だよ。そしていづれこの日本(ひのもと)をひっくり返すようなことをするすごい人だよ。と言った。
そしたらと、言い…
茉莉が龍馬の元に酌をしに向かい茉莉が、龍馬の元について坂本しゃまと言い酌をした。
龍馬がありがとねやと感謝したとき、あることに気づいた。(あれ、この娘…)と思ったが、あまり気にしなかった。
すると、どうぜよ梅の字はと聞いた。
すると茉莉は、モシモジしながら白い顔を真っ赤にした。
龍馬はなるほどーと、思い笑みを浮かべた。
しばらくして、今宵はお開きになった。
龍馬は、帰りの道中に梅の字にも気になる娘がおるとはのぉーと言った。
梅之丞は、ちっ、違います。そんなんじゃないです。と顔を真っ赤にして言った。
おぉー、そうかえそうかえ。とにやけた顔で龍馬はいい。二人で暗い夜道を帰った。
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