第8話 王子たちの密談
入学式もつつがなく終わり、翌日からはさっそく新学期の授業が始まった。
小さくて田舎者丸出しのリアはいじめられたりしないか心配だったが、みんなの妹キャラとして可愛がられ、意外に快適な学院生活を送ることができていた。
そして平穏に過ごし、入学式から3週間がすぎた頃、生徒集会が開かれるとのことで、放課後に全校生徒が集められることになった。
※
生徒集会が開かれる日から遡ること3日
生徒会室で、クリスとジークフェルドが二人で密談をしていた。
この国の王妃であるクリスの母と、リンドブルムの国王であるジークフェルドの父が兄妹なので、二人はいとこ同士なのだ。
「父上からリアをよろしく頼むと言われたものの、学年も違えば性別も身分も何もかもが違いすぎて全く接点がないんだ。おまけに入学式の日も終わり頃からしか参加できなかったから、どの子かもわからないし。」
ジークフェルドがため息をついた。
「そうだね。周囲に内密に、リアにも事実を伝えずに本人と接触するなんて無理だよね。」
クリスも同じくため息をついた。
他の生徒にリアのことを尋ねれば情報は得られるだろうが、王子達がどうして田舎の男爵令嬢のことを気にかけているのかという噂がたっても困るのだ。
「そうだ。生徒会にリアを入れるのはどうかな?」
クリスが名案を思いついたとばかりに提案してきた。
「生徒会は指導力を学ぶ場として高位貴族の子弟しか入れないんだろう?」
ジークフェルドが訝しげにたずねた。
「今までの慣習はそうだったけど、今年は留学生の君がいるだろう。」
「俺?」
「留学中の王子が、低位貴族も含め幅広い人たちと交流してアルノーのことを学びたいと言っているとか言って、今年だけくじ引きで役員を決めたらいい。」
「俺はわがままな王子役か。」
ジークフェルドはアハハと笑った。
「1年生だけだとおかしいし、1年と2年の各学年1人ずつくじで決めようか。本当にくじ引きにして変なのが入ったら困るし、2年生は、前からちょっと気になってる人がいるからその人にするよ。」
「美人なのか?」
「男だよ。」
真顔でジークフェルドに聞かれクリスは憮然と答えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます