第3章:愛と葛藤の別れ/青年後期編

今日の彼は世の中から取り残されているような気分に陥っているらしい・・・


さて、少し振り返ろう。

仕事も趣味も充実していた。

経理の仕事をしながらも、システム関連の仕事も並行してこなしていた。

しかし、それが評価されることはなかった。

同僚との関係でも、彼が気づかない”大切な岐路”があったのも確かだっただろう。

あの人は好意を寄せてくれていたのかもしれない。

しかし、それに彼は気づかなかった。

ここまでは初回からの続きである。


プライベートと音楽関係では”大きな変化”があった。

転職をした。

リゾート地と呼ばれるような街に居を移した。

周りからはうらやましがられるような生活をしていた。

そしてまた退職もした。


その後、彼は転職を繰り返すが、長続きをすることはなかった。

一定の年齢を超えてからの転職は、現実的に難しいことを叩きつけられた。

彼は毎日パソコンでエントリーシートを送りまくっていた。

しかし、彼の元に届く返事は「今回は残念ながら・・・」の山。

やっと職を得たが、彼の肩書には「経理/SE」なんて冗談みたいな文言が添えられていた。

ハードウェアファイアーウオールのDMZにHTMLサーバとメールサーバをおいた。

そう、「カード式(磁気・IC)タイムカード」による「人事の支店間総合管理」である。

ある日、知らないインターネットサービスプロバイダーからメールが届いた。


「御社のメールサーバが踏み台に使われているようです」


彼はなんとか難関を切り抜けた。

しかし、彼はまた転職した。


今度の会社は新しいキャッシュレス決済の先行分野であった。

月に2度の締め日、つまりは契約店舗への預かり決済金の支払い。

彼はキーボードにユーザーネームとパスワードを入れる。

そしてエンターキーを叩くと、十桁の”目に見えないお金”が動く。


1ヶ月も経っただろうか・・・・・


ある日、彼は会社の100メートル手前あたりで足が動かなくなった。

喫茶店に入り、上司に来てもらう。

また退職だ・・・


そして、裏側では恐ろしい”現実”が流れていた。

しかし、それらについては詳しく書くことはできない。

なぜなら、彼は相手から見ると「裏切り」の行為としか見られないようなことをしてしまったからだ。

そう、それは”事件”でもあり、一歩間違うと”犯罪”にもなりかねなかった。

逆にいうと相手を辱めるようなことも書かないといけないかもしれない。

それは避けなければ・・・

それでも彼の中では、彼なりに”筋”が通っていた。

いや、彼の”正気と命を保つ為”の行為だったかもしれない。


彼は静かに姿を消した・・・それは二度目の失踪


〜 さて、時を変えよう 〜

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