第6話
準決勝に進んだ南中学校は昨年の優勝校である岐阜の山本中学校と対戦することになった。山本中学校は全国でも屈指の強豪校として知られ、その選手たちの実力は折り紙つきだった。南中学校のメンバーは気合を入れ直し、気持ちを一つにして挑んだ。
最初に土俵に上がったのは崇。彼はこれまでの取組で勝利を重ねてきたが、山本中学校の先鋒もまた強者だった。立ち合いから激しいぶつかり合いが始まったが、崇は相手の圧力に徐々に押され体勢を崩してしまう。なんとか反撃を試みたものの相手の技術と力に圧倒され、惜しくも敗れてしまった。
崇が土俵を下りると和人や優太は彼を迎え、肩を叩いて励ました。
次に土俵に立ったのは優太だ。彼は先ほどの取組で感じた悔しさを胸に秘め強敵に挑んだ。相手は春の大会で個人戦のチャンピオンとなった選手で、その強さは圧倒的だった。立ち合いの瞬間から優太は全力でぶつかり合い何度も必死に耐えたが、相手の攻撃を防ぎきれず、やがて土俵の外へと押し出されてしまった。
「くそ…!」
優太は土俵を下りると、悔しさを滲ませた表情で和人の方を見た。
「ごめん、和人…」
「いや、よく頑張った」
和人はその言葉に軽く首を振り、優太の肩を叩いて励ました。
先鋒の崇と中堅の優太で2敗。この時点で団体戦敗退は決定してしまったのだ。和人たち南中学3年生の夏が終わった。
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