第11話 星の意味と、新しい魔法

翌朝、ギルド前の集合場所に一番に来ていたのは澪と沙耶だった。まだ人通りの少ない時間帯で、澪が遠慮がちに切り出す。


「ねえ昨日さ」

「うん」

「オリオン座の星で沙耶が左足担当、リゲルだったじゃっけ」

「そうだね」

「うち、右手のタゲ取ってたからベテルギウス担当かなって思ってたんよ」

「そうでしょ?」


澪は少しスマホをいじって、困ったような顔で続ける。

「あの後さ、ベテルギウスの意味調べたら『わきの下』だって言うんよ」


沙耶の表情が一瞬固まり、それから吹き出した。

「いや、草」


「臭いとか言うな!」

「ちがうちがう、草って笑う方のそれー」


「リゲルだって意味は『足』だからな」

「それも草」

「草やめな」


二人が笑っていると、少し離れたところから悠斗と凜が歩いてきた。


「楽しそうだな。何の話だ」

「星の意味の話してたんですよ」

「なるほどね」凜が頷き、自分の左肩を軽く叩いた。

「昨日言われたように私はここだな。ベラトリクス。女戦士という意味だったか」

「おお、かっこいい」

澪と沙耶が同時に声を上げた。


悠斗も腕を組みながら星図アプリを眺める。

「で、僕は……右足の……サイフ?」

澪と沙耶が吹き出し、悠斗が微妙な顔をする。

「サイフ担当って奢る人みたいだな……」


「まあ余った星だからしかたないな」

凜が軽く笑い、四人はダンジョンへ向かった。


---


軽い実戦訓練:星の名を背負って


今日潜るのは昨日より一段深い階層。出てくる魔物も少し硬い。

通路に現れたのは二体のロックウルフ。石皮に覆われているため、剣の角度を工夫しないと弾かれる。


「右、取るよ!」

沙耶が軽く牽制を入れ、ウルフの勢いをそらす。


「左は任せて」

澪は素早く間合いに飛び込み、剣で前脚部分を狙う。


悠斗は後方で全体を見つつ、必要に応じて踏み込む準備をしていた。

凜は二人のリズムを合わせるように位置取りを調整する。


「リゲルアタックいくよ!」

沙耶の剣が横から食い込み、ロックウルフが大きくよろめく。


「なら、ベテルギウスカット!」

澪も続き、狙い澄ました右側面の急所に刃を入れた。


崩れ落ちた瞬間、悠斗と凜がもう一体に向かって同時に踏み込む。

二人の剣が上下から挟み込むように入り、反撃の隙を与えず斬り倒した。


砂埃が落ち着くころ、澪が息を整えながら言う。

「あ、レベル上がった……」

「わたしも。5になった!」

沙耶が嬉しそうに跳ねた。


---


ギルドに戻り、スキル鑑定


ギルドに戻るとすぐにスキル鑑定の受付へ。

測定器にカードを通した瞬間、澪の目が丸くなる。


「火魔法、覚えてます……」

「わっ、ほんとだ。私は水魔法だって」

沙耶がカードを両手で持ち、目を輝かせる。


「ベテルギウス赤い星だし、火って感じしていいですね」

澪がうれしそうに笑う。


「リゲルは青い星だから、水魔法ってなんか運命っぽい」

沙耶が頬をゆるめる。


「名前で言うと、水っぽいのは澪だけどな」

悠斗がからかう。

「性格は火だよね」

沙耶の補足で澪は気まずそうに笑った。

「あはは、たまに言われる」


「魔法はこれから実戦で慣れていけばいい。剣と合わせて戦えると強いぞ」

凜の助言に三人が同時に頷いた。


星座の名を背負った四人は、またひとつ力を手に入れた。

そして次にどんな階層へ進むのか、期待が自然と高まっていくのだった。

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