ある村の寺に伝わる、髪の毛が伸びる「お松人形」。
愛する妻を亡くした男が、その遺髪を使って作らせたという人形には、美しくも悲しい夫婦の物語が残されていました。
ところが取材を終えた記者は、一人の男から声をかけられます。
「あれは、表向きの話だよ」
ここから、それまで聞いていた伝承の意味が少しずつ変わっていくのが面白い!
昔話のような第一話から始まり、隠されていた真相へ。そして最後には、遠い村の怪談だったはずのものが私たちの日常にまで近づいてきます。
読了後、街ですれ違う誰かの髪を、ほんの少し気にしてしまうかもしれません。