第49話 眷属の楽園――絶叫マシーン爆誕

回転塔の高い柱の頂点から伸びる鎖に吊るされた輪を、ラニは握る。

「反対側を掴むのじゃ」とチビ助達に声をかけると、一気にしゃがみこみ、足を離した。


――風が唸る。


ラニの身体が宙を舞い、ガーゴイル達が連なるようにぐるんと旋回。

遠心力に煽られながらも、みな笑い声を上げる。


「ヒャァー!」「キャァー!」「アァー!」


「これが一番、迫力があるのぉぉぉーーー!」


ラニも回転しながら叫ぶ。


ところが――油断した砂鉄が手を放した。


スポーーーーーーーーーン!


勢いそのまま空へ飛び、あっという間に点になって消えていく。


これに味を占めたチビ助達は、わざと回転塔の頂点で手を放し、奇声を上げながら空を飛んでは、また戻ってくるという謎の遊びを始めた。


「アヒャァー!」

「ギャァァァ―」

「アァァァァ―」


中には、器用に半分だけ石像化して遠心力を増すという上級者も現れ、見ているだけで三半規管が悲鳴を上げるほどの混沌が生まれていた。


ラニは一旦、砂場の丸太に腰を下ろした。

白く焼けた砂が陽光を弾き、チビ助達と大人の嬌声が入り混じる。


額から一筋の汗が流れかけた時――

柔らかく、それが拭われた。


「爺や…」


ラニが顔を上げるとハンカチを手にした爺やが、穏やかに微笑んでいた。


「良い光景ですね」


「うむ。そうじゃな……平和じゃの」


春風がそっと吹き抜ける。

魔王と眷属の間に、静かな幸福が流れていた。

笑い声が響く魔王領の公園――そこには、何か特別な文化が芽生えようとしていた。



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※公園の遊具は正しい使い方で遊びましょう。

 ここに集う者達は飛んでも回転しても平気な体の仕様です。


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ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

明日は「第50話 魔王、筋肉に遭遇する」です。


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