地球最後の40日記
くろな
序章 地球滅亡と 通常な生活
【北宮翔】
「かける、起きなさい!地球が大変よ!」
んー…
なにさ、せっかく眠いのに。
お母さんはいつも急に叫ぶ。
「なんだよ、地球って」
母は固まって動かない。テレビに釘付けになっている。
「母さ……」
______________________は?
なんだよ、これ…
「地球が…滅亡…?」
ビーッ、ビーッ。
母さんのスマホが鳴る。父さんだ。
〈母さん!?俺だ!見たか、ニュース!!地球が滅びるって、なんだよあれ!!!〉
父の焦った声が電話越しに聞こえる。
「そんな…私だってわかんないわよ!でも…。」
〈っ…!!……いや、ごめん。とりあえず今日は
早めに切り上げてくるから、その後話そう〉
「ええ……、わかったわ。」
なんだ、なんなんだよ
地球が滅びる?なんだよそれ
「……母さん、俺、学校行ってくる」
「…ええ、気をつけてらっしゃい。今日は父さんが帰ってくるから遅くならないでね」
「はい…」
ブーッ、ブーッ。
今度は、俺の携帯からバイブ音が鳴る。
“ 空下中学校 2-2 ”
そうだ、学校…
何人かがグループチャットで話している。やっぱり、隕石のことだ。
隕石、地球が滅亡……。
どこかのアニメでしか聞いたことの無い単語ばかりで、正直実感が湧いていない。
これは夢ではないのだろうか?
隕石がぶつかるっつっても、いつ__
ウェブサイトで検索して、目玉が飛び出でるかと思った。
なんだよ、これ…
〝40日後〟って……。
【黒川敬介】
「おい黒川……今朝のニュース見たか?」
親友の拓斗が声をかけてくる。
答えはYES。見たに決まっている。
「見たに決まってる、けど実感湧いてない」
「さすが、堅物王子!」
「ばかにしてんだろ」
「へへー、許せよ」
普通の学校、普通の友達、普通の日常。
本当に40日後に地球が滅亡するのか。
いや、フェイクニュースとかを疑っている訳では無いけど。
にわかに信じ難いのも事実だ。
夢オチではないだろうか。
……いや、全てありえないのは分かっている。分かっていて、実感がわかないのだ。
実際、みんな湧いていないから学校に来ているのだ。
「俺たちはよかった……っていったらおかしいけど、三年の先輩とか小六、高三は可哀想だよな」
「なんで?」
「受験期じゃんか。受ける受けないにしても目指してた学校にはいけねえ。可哀想だろ」
「確かに…!」
拓斗がこちらをまじまじと見つめている。
「何?」
「いやお前、すげえよ。そこらへんの大人より全然。頭いいし、色んなとこ見てるし」
そんなの分かってる。俺は天才だ。親がそう育てたから。
「地球があと40日で滅びなければな。」
「……そだよなー。」
拓斗は残念そうにしている。相変わらず面白いやつだ。
「それに、お前も残念だったよな。モデルの道は完全なるものだったのにな」
齋藤拓斗。バカだけど面白くてイケメン。
モデルになれそうだった残念なやつ。
「くっそー!いうんじゃねえ!」
「悪いって〜」
【霧島咲桜】
「男子って、こんな時までほんとバカ」
隣で、マブの純菫がなんかぼそっと言ってる。聞こえてるっつーの〜!
「敬介も拓斗も、いつもの調子だよねぇ〜!ま、うちらもなんだけど〜っ」
「え、それなぁ!ふっつーにメイクしていつも通りきちゃった〜」
うん。すーたんいつも通り可愛い〜!
「おはよう!地球やばくない!?」
「明茜と翼椿と涼菘ー!おっはー!」
「それなぁ〜、でもあんま感じないわ〜」
あかね、すずな、すみれ、つばき、うち!
〝世界でいっちゃん可愛いぎゃるず〟五人組!
ちな、うちの彼氏が敬介…はず!
「咲桜ちゃんさぁ、最後の日は黒川と過ごすの?」
「はぁ!?」
え、すずな急にどしたん?!
「いや過ごしたいけど……」
「あ、待って逆!え、違う!あぁー!」
「さくら今日も元気だねぇ〜」
もおおお!どうしてこうなんのよっ!
【堀川悠之介】
「おーい、お前ら、悪いが早急に席に着け〜」
教卓に立つのもあと何回になるんかな…
ちぃとばかし寂しいなぁ。
「みんな知っての通り40日後に地球が滅亡する。今は学校内…いや、国で今後どうするか相談中だ。」
「堀川センセ、これからどーなるの?」
「落ち着け霧島、検討中だ。最低でも5日はかかる。それまではまず予定通りだ」
「ハーイ」
にしても地球が滅亡か…。
500年以上前から言われてきたことだが、俺が生きてるうちになるとは思わなかった。
……はっきり言って、このクラスはおかしい。
そもそも、地球が終わる と聞いたらパニックになるものだ。
当たり前に、他クラスでは生徒は半数に満ちていないところもある。教師だって来てないやつがいる。
しかし、うちは全員出席。
薄々感ずいてはいたが、2年2組にはモンスターが集まっている。
「……地球は、滅びる。最後の40日間だ。ずっと家族といてもいいんだぞ、」
しかし、誰も何も言わずに、ただこちらを見ているだけだ。
隕石よりも、もっとずっと異常だ。
地球最後の40日記 くろな @-Kurona-
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