君のためにあいつを殺す
綺羅
第1話
────いつからだったっけ、こうなっちゃったのは。
「おはよ」
家から出てきた幼なじみの悠真に声をかける。
小中高と同じ学校でおまけに家まで隣。そして今年は同じクラス、隣の席になってしまった。典型的な幼なじみである。なのでこうして毎日一緒に登校している。
「んーおはよ、瑠璃」
まだ眠そうに悠真は目を擦る。
そんな彼の姿に思わず微笑んでしまう。
「もー、またゲームで徹夜でもしたの?」
「まあそんなとこ。オンライン対戦でさ、ちょうど外国人と一緒になっちゃって相手に合わせてやってたら朝だった」
悠真はいつもこうして毎日ゲーム三昧。全く、どうしてそんなやって飽きないのかな。
幼なじみとしては生活リズムをちゃんとして欲しいものだ。
「ゲームやるのもいいけどやり過ぎもだめだからね?だから授業中寝るんだよ?」
「分かってるって。てか母さんかよ。それに授業は俺の大事な睡眠時間なの」
悠真はムスッと口を尖らせる。この様子だと覚えてないかな。
「ねえ、今日何の日か忘れてないよね?」
私は恐る恐る尋ねてみる。忘れてたらショックで2週間は寝込んでやるからね。
「…?」
不思議そうに首を傾げる悠真。まじかこいつ。
「待って嘘でしょ?何年幼なじみやってんのよ」
大袈裟に悲しむ素振りをしてみせる。これくらいやらないと私が可哀想だもん。
「うそうそ。からかっただけ。…誕生日おめでと、瑠璃」
なんだ良かった。忘れてなかったんだ。ほっとしているのを悟られないよう大きなリアクションを取る。
「あーもうびっくりした!てかプレゼントの約束覚えてるよね?」
「うぐっ」
ブレゼントの約束とは。毎年誕生日の人は相手になんでも一つ言うことを聞かせられる、というもの。ノリで小学校の時に作ったルールを私たちは律儀に守っているのである。
そして、今年のプレゼントに私が選んだものは──
「んー、そうだなー。一日執事のように私に仕えてもらおうかな」
「はあ!?」
驚くのも当然である。何せ今まで『○○が欲しい!』と言って相手が買ってあげるという内容だったからだ。スタバの新作、学食の1番高いメニューなど大体は食べ物だった。なんなら小学生の時は駄菓子屋で200円分奢るとかだった気がする。
「…瑠璃。おまえまだ懲りてないのかよ。今までどういう関係なんだって責められただろ」
「そろそろ食べ物シリーズ飽きてきたし。それに私に学年1のイケメンと持て囃される悠真が仕えてるって面白そうじゃん。」
「全女子を敵に回したな」
悠真はため息をつく。
私は悪びれもなくてへ、と舌を出しておどけてみせる。
あー今日楽しみだなー!!
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