空港アナウンスは今日も誤解だらけ
小松たね
第1話
種子島空港、搭乗口、ウェイティング・エリア
アナウンスメント:「お呼び出しいたします。ひらい しん様、ひらい しん様、
エアーPM2.6の出発ゲート・カウンターまでお越しくださいませ」
乗客A:(心の声)「避雷針か。危ないぞ、自分に雷が落ちてくる」
アナウンスメント:「お呼び出しいたします。こまったね様、こまったね様、フライ・アウェイ航空、87番ゲート・カウンターまでお越しくださいませ」
乗客A:(心の声)「今度は、こう来たか。何に困っているんだろう」
――小松たね、87番カウンターへ行く――
小松たね:「あのね、私の名前は、”こまつたね”です。”こまったね”じゃないわよ」
87番ゲート、カウンタースタッフ:「たいへん失礼いたしました。”つ”が小さくなっていたものですから」
アナウンスメント:「お呼び出しいたします。きど るい様、きど るい様、フライ・アウェイ航空、
87番ゲート・カウンターまでお越しくださいませ」
乗客A:(心の声)「わーお、今度はレア・アースか。珍しい名前が続くなあ」
――木戸類(きどるい)、87番カウンターへ行く――
87番ゲート、カウンタースタッフ:「木戸様、南鳥島沖のレア・アースの掘削計画はどうなっているかお聞きしたいのですが?」
木戸類:「あの~、私に聞かれましても。私はレストランのシェフでして」
87番ゲート、カウンタースタッフ:「申し訳ありません。私はてっきり、レア・アース掘削計画関係の方だとばっかり思っておりました。日本の資源発見に期待しているものですから」
アナウンスメント:「お呼び出しいたします。ひら めいた様、ひら めいた様、エアーPM2.6の出発ゲート・カウンターまでお越しくださいませ」
乗客A:(心の声)「創作をする職業なんだな。小説家か」
――比良明太(ひらめいた)、87番カウンターへ行く――
エアーPM2.6の出発ゲート・カウンター スタッフ「どうですか、その後、小説の何かいいアイデアが浮かんだでしょうか」
比良明太:「うちは、代々明太子を販売しておりまして、小説には縁がございませんが」
アナウンスメント:「お呼び出しいたします。さとうや・しお様、さとうや・しお様、フライ・アウェイ航空、87番ゲート・カウンターまでお越しくださいませ」
乗客A:「あ、俺だ」
乗客A、砂塔谷 史緒 (さとうや・しお)、気がついていないのは本人だけであった。
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【免責とおことわり】
本作に登場する名前・団体・場面は、すべてフィクションです。
実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
もし作中の名前や設定が実在の方と偶然一致してしまった場合には、
ここに深くお詫び申し上げます。
意図したものではなく、純粋な偶然によるものです。
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空港アナウンスは今日も誤解だらけ 小松たね @marplecci
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