永遠に晴れ
炉扇
永遠に晴れ
呼吸よりも静かな冬の夜に、黒よりも青い空がじっと少女を見つめていた。その両目が星のように煌めいていたからだ。空は少女にこう語りかける。
「君は朝と夜でずいぶん様子が違うね。朝のほうが綺麗なのに、ぜんぜん僕を見てくれない」
少女は丘の上で空の話を聞いていた。月がいつもより大きく光っていたからだ。自分に息があることを確認するように、繰り返し白い息を吐いていた。
「空じゃなくて、夜を見ているんだよ。朝はどこでも見られるけれど、夜を見せてくれるのは空だけだから」
少女の言葉とともに白い息が広がる。空は泣きたいのに、雲一つないので、代わりに宇宙が星を流した。夜がそれを輝かせる。少女は目を瞑って手を合わせた。
「明日も晴れますように明日も晴れますように明日も晴れますように」
今夜だけは、少女の白い息が集まって一雫を落とせますように。町中の白い息が集まって一晩中泣けますように。翌朝、銀色の町が太陽光を強く反射した。
永遠に晴れ 炉扇 @Marui_Rimless
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