教会の懺悔室。そこが物語の舞台にございます。
あまり馴染みのない、映画でたまに見かける場所にございますな。
罪を犯した人と、神父。その間には「しきり」がされており、お互いの顔や様子は見ることができません。
この日、神父は何やら急いでいるようでした。
日の沈み、懺悔室にもう、誰も来ないことを確認すると、『警察』に向かおうとしております。
なんでも緊急を要するのですが、そこに、懺悔をしに来られた女性がやってまいりましたので、話を聞くことに。
しかし、なぜか妙です。
女性の話は、冗長で周りくどく、なかなか本題に入ってくれません。
急いでいる神父は、次第に苛立ちを隠せなくなります……。
果たして、
この女性の犯した罪とは……?
短編として、非常に優れたストーリーだと思いました。
最後まで引き込まれましたし、
「うわ、やられた」
なラストが待っております。
ご一読を。
相も変わらず作品のクオリティーが群を抜いています。今回もよく練られたミステリ作品でした。
舞台はイタリア。教会の神父として働く「僕」は懺悔室で一人の女性の罪の告白を受けることとなります。
「僕」は彼女の相手をしながらも、何かに怯えているような様子。読者はこの明らかな「信頼できない語り手」に対してモヤモヤとした感覚を抱いたまま読み進めることとなります。
女性の懺悔のほうは懺悔のほうで妙な長話となりますが、こちらも何やら隠し事をしたまま話しているような感じが漂っています。
彼女の懺悔話にはイタリアの異国情緒を感じさせるようなリアリティーがあって、それだけでも十分に楽しむことができました。
でも本作の醍醐味はそんなところではありません。ミステリ的真相がラストで明かされたとき、読者は間違いなく舌を巻くこととなるでしょう。
この真相の提示も、ジワジワと少しずつ見えてくるような構成になっており、段々と体を蝕まれていくホラーのような感触がたまりませんでした。
読者の期待にしっかりと応えつつ、さらにその期待を超えていく。非常に完成度の高い作品でした。