秩序立って意味がある、馴染み深くてわかりやすい『文章』。
それを複数用意した上でわざと断片にバラバラにし、それを組み合わせて、本来の形と違ったものに『復元』する。
そんな、どこか奇妙で不思議な技法を「カットアップ」と呼ぶ――この作品で初めてそれに触れる方は、自分も含めてきっと多いでしょう。
どの話を読んでも、そこに描かれるのは幾つもの情景が重なりもつれあった、混沌としている情景。
ですが、本来なら破綻しそうな文章の中に、『意味』のようなものが生まれてしまう。
本当に不思議なのは、あらゆるものに『秩序』をつい求めてしまう、私たち読者なのかもしれない――そんな事を、つい考えてしまいそうになります。
複雑怪奇な文章の中で、己をつい見つめ直してしまいそうな短編集。
皆様も、ぜひ『断片』が織りなす世界を堪能してはいかがでしょうか。