思ひ出の「勉強堂」

なかむら恵美

第1話

その昔、群馬の社宅にいた頃。桐生市に住んでいた。

某商店街に、「勉強堂」。<メガネの>正式名称で言えば、頭についている「メガネの勉強堂」屋さんがあった。


看板が凄かった。

眼鏡を掛けた小学生。三つ編み姿で、逆さにした半円球形。

当時はそれしかなかったメガネフレームを掛けた女の子。小学5年生ぐらいか?

アニメ「ミラクル少女 リミットちゃん」に出て来た通称・ブー子。

メガネを掛けた、リミットちゃんのお友達。本名・何とか信子ちゃんみたいなキャラクターが描かれた看板が店の前に立てられている。

乳白色のプラスチック製で、中から電灯が灯されるタイプの看板だ。

今でもある。


4歳ぐらいの時。

母に連れられて良く行ったデパートの、商店街は通り道。

看板は、わたしの視線と同じぐらいの位置に置かれている。

(あ~っ)

通りすがる度に、拡大化。

迫ってくるキャラクター・にせブー子ちゃん(?)を見ながら、ゲンナリした。

数秒にも満たないが、恐怖。恐怖の対面お時間だ。

(小学生になると、みんな眼鏡を掛けるんだ。)

(眼鏡を掛けなきゃいけないぐらいに、勉強しなくっちゃあいけないんだ)

暗く将来を憂いつつ、通りすがる4歳のわたし。


豊かですなぁ、感受性が、我ながら。「歩く感受性」とでも言いたくなる。


あの看板の「勉強堂」。わたしを恐怖に貶めた(?)、あの看板。

そして商店街の賑わいは今、どうなっているのだろうか?


                             <了>

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思ひ出の「勉強堂」 なかむら恵美 @003025

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