【短編】ネガティブに魔法少女は効きますか?

春生直

第1話 ネガティブ少女

ネガティブにつける薬はない。

もちろん病気であれば病院で薬をもらえるだろうが、性格であればどうしようもない。生まれてすみません。


だから、本当に間違っているのだ。

こんなネガティブな私が、まさか、

ー魔法少女になるだなんて。


「いくよ、楓ちゃん!」

「こんなの嫌だあああっ!」


私に世界は救えない。

しかし、私は泣きながら変身して、敵に立ち向かう。

どうしてこんなことになってしまったのだろう。

そう、あの日からーー全てが変わってしまったのだった。


☆☆☆☆☆


私は篠宮楓、学校を休みがちな高校一年生だ。

とにかく、身の回りのこと全てが不安で仕方ない。

明日隕石が落ちてきたらみんな死ぬのに、どうして希望を持って生きられたりするだろう。

そうだ、間違っているのは私ではない。ポジティブにならなければ生きていけない、この世界の方が間違っている。


「いい加減、変なことを言うのをやめて学校に行きなさい!」

毎朝8時になると、お母さんは私の部屋のドアを乱暴に叩く。

私は答えず、布団を頭まで被る。

明日隕石が落ちてきたら死ぬのに、勉強に何の意味があるのだろう。

「あなたに荷物が届いているから、置いておくわよ!」

ドアの音が止んで、去っていく足音がする。

よかった、今日も諦めてくれたみたいだ。私はのろのろとベッドの上で起き上がる。


「荷物なんて、頼んでないのに…」

薄くドアを開けると、小さい段ボールの箱が置いてあった。

確かにそこには、

「篠宮楓 様」

と宛名が書いてある。差出人は不明だ。

「誰だろう、おばあちゃんとかなのかな」

学校にあまりいかない私のことを心配して、何か送ってきてくれたのかもしれない。

私はその小包を開けた。

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