運転

鮭さん

第1話

 ブンブーン

 今日は家族で街のはずれのイオンモールに遊びに行きます。

「僕にもできそう。」

 運転している私を見て小学生の息子が言いました。なんか舐めているのかもしれません。(混んでいるのにイライラさせないでくれ!)と思いながら、私は平静を装いました。

「そうだな。大人になったら出来るかもしれないな。」

 私はアクセルを踏みました。

 ぷ〜

 それと同時に息子がオナラをしたので、室内が臭くなりました。

「オナラをしてしまい車内が臭いので窓を開けましょう。」

 ヴィーーーン

 車の窓が開き、風通しが良くなりました。臭いは飛んでいきます。子供も臭いのはいやなんだな。イオンモールは楽しい場所ではありません。昨日はイオンモールの駐車場に熊が出たと話題になっていました。そんなとこに行くのだから、死にに行くようなものです。

 ぷっぷっぷー

 イオンモールに着くと、早速駐車場に熊がいました。

「熊がいるので帰ってください。」

 と電光掲示板に流れていたので帰りました。熊がイオンモールの駐車場を独占していてカッコよかったです。みんな、熊に近づかないようぐるっと大きく回って帰っていきます。よかった。死なずに帰れるのだ。戦争は終わったのだ。そう思って家に向かいます。

 ブンブーン

 安心して帰路につきます。ああ、心配事が解決したので満足です。帰りの道路も混んでいますが命があるのでそんなことはどうでもいいです。

「僕にも出来そう。」

 ゆったり運転している私を見て息子が言いました。全く、調子に乗るなよ。説教するべきだ。

「あなたには出来ません。子供に運転させるなんて死にに行くようなものです。」

「ああ、そうですか。それは良くないですね。戦争は終わったのですからね。」

 子供はそういうとスヤスヤと眠り始めました。やはり、さっき言われるがまま子供に運転させていたら事故になっていました。きっと居眠り運転をされていました。よかったブッブー。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

運転 鮭さん @sakesan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ