性格を変えたい私の恋

かえで

第1話 変わりたい私

「~っ(早く来いやゴルァ~~!!)まだなの……。」


マンションのエントランスで。私はただひたすらに足をトントンならしていた。


中学生の私――藤白要ふじしろかなめは同じ中学生の友達を待っていた。


――あ、いけない。またイライラが……。


私は一言でいうと短気だ。二言で言うと短気で毒舌だ。

でも、変わりたいと思っている。


そう思った転機は小学生のころ。


短気で毒舌で……。最初はまあよかったものの。友達はどんどん減っていった。

六年生のころにはもうボッチになっていた。


中学ではそれを避けたくて。この性格をどうにか変えようと思ってるんだけど……。

やっぱりにじみ出ちゃう元の性格が怖い。


また嫌われたら。そう思うと何もかもが怖くなっちゃうから……。

考えないようにしながら、毎日を過ごしていた。


「お待たせ〜。要」

「(遅れたんだからごめんくらい言えやバカヤロ–––!)ううん、今きたばっかり〜」


なんで私が気を遣わなきゃいけないのさこの馬鹿志織ばかしおり––––あ、いけないっ……。


「急がなきゃー、遅刻しちゃうっ♡」


首をかしげながらハートをつけるぶりっ子のような遠藤詩織えんどうしおり――正直しゃくにさわって仕方がねえ。


(遅刻したらお前のせいだろ語尾に♡つけるのイラつくんだよ馬鹿志織)


心ん中で恫喝していると志織は走り出す。


(お前のせいで遅れたのに走るの嫌いなウチに走らせんな馬鹿志織)


あ、ウチって言っちゃった。おとしやかに私私私……。


あ~ん、わざわざ遠くの中学校に受験していって、0から始めようと思ったのに……


「危ない危ない。間に合ったねっ♡」


(お前がもっと早く来れば危なげなくこれたんだよ語尾に♡つけんな馬鹿詩織)

でもそんなこと言ったらボッチになっちゃうから……。


「う、う~ん。良かったね……!」


あいまいな笑顔でうなずく私。はぁ……。


うつむいて歩きながら、教室に入る私。

この教室に入るのも3回目。慣れたなれた……。


ドンッ


「う、うわっ?だだだ、大丈夫!?ごめん!」


び、びっくりした。うつむいて歩いてたら男の子にぶつかっちゃったみたい……。ったく、何前見ずに歩いてんだよコイツ。私もだけど


「う、うん。ごめん」


そう答えると席に着く。隣の席の子がいないのを見て、ため息をつく。


実は、この学校にはあるうわさがあるんだ。


入学から5日間――つまり明後日、入学初日に隣になった人と花壇に行くと、結ばれるっていう……。


変な噂でしょ?でも……。隣の席の人がきたらなあ。


窓の方を頬杖をついて眺めていると。がたりと椅子のひかれる音がした。


すると、隣にさっきぶつかった男の子が座っていた。


え……。

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