星になった父へ

@white901

星になった父へ

 将来はお父さんみたいになりたいです。お父さんはいつも僕たち家族のために働いてくれています。僕が朝ごはんや夜ご飯を食べることができるのも、学校に行くことができるのも、全部お父さんのおかげです。お父さんにはいつも感謝しています。けれど、最近、平日はお父さんに会えていません。お父さんはいつも「ざんぎょう」っていうやつをしていて、お母さんが言うには夜の11時くらいに帰ってくるらしいです。お母さんは言っていました。「お父さんは私たちのために働いてくれている。だけど、頑張りすぎて心配」と。僕もそう思いました。




 実は一回だけ学校をずる休みしたことがあります。お父さんが心配で、一緒に電車に乗って会社まで行こうと思ったのです。けど、「大丈夫」と言われました。どうしてもお父さんが心配だったので頑張って説得すると、お父さんは「最寄り駅までなら来てもいいよ」と言ってくれました。僕はお父さんとお母さんと家を出て、一緒についていきました。




 最寄りの駅に着くと、たくさんの人がいました。全員スーツ姿です。電話をしたりメールをしたり、電車を待っている間も仕事をしています。お父さんも同じでした。電車が来ました。電車の中はすでに満員で、みんながおしくらまんじゅうしていました。中には怒っている人やイライラしている人もいました。お父さんは死んだような顔で電車に乗り、つり革につかまり、僕の顔を見て手を振ってくれました。僕はそこでお父さんとお別れです。僕はお母さんと帰りました。




 




 僕には子どもがいます。僕は朝早く家を出て、残業をして帰ってくるので、子どもはすでに寝ています。最近、満員電車が嫌になってきました。人が多すぎて気持ちが悪いです。電車の中は空気も悪いです。もう嫌です。仕事だって楽しくないし、辞めたいです。けれど、仕事は楽しくないのが普通なのかもしれません。楽しい仕事なんてないと思います。では、なぜやっているのでしょう? お金のため? 子どもがいるのでお金が必要です。僕の父も、きっとそう考えていたのだと思います。多分。




 けれど、僕の父は過労で亡くなりました。僕もそうやって死んでしまうのかなと思います。それって幸せなのでしょうか? わかりません。でも、子どものためです。




 




 僕のお父さんはいつも帰りが遅いです。「ざいぎょー」っていうやつをしているようです。「ざんぎょー」っていうやつは面白いのでしょうか? 面白いから家に帰るのが遅くなっているのでしょうか? 実は家族のために働いているのではなく、自分が楽しみたいから「ざんぎょー」っていうやつをしているのでしょうか? わかりません。




 それに、本当に「ざんぎょー」なのでしょうか? 僕は学校をさぼった日に、お父さんが帰ってくるのをずっと待っていました。けど、帰ってきません。僕はお母さんにばれないように駅に向かいました。すると、駅に行く途中に公園がありました。その公園で、お父さんらしき人がブランコで遊んでいました。僕は近づきました。お父さんでした。隣には知らない女性がブランコに乗っていました。その人は僕が近づくと、急いで帰っていきました。




 お父さんは目をまん丸にしていました。「このことはお母さんには内緒だよ」。お父さんはそう言いました。少しだけ怖い声でした。僕はブランコに座りました。初めてブランコをやりました。僕は家でずっと動画を見ているだけで一日が終わっていくので、これがずっと続くのならいつ死んでもいいなと思っていました。けれど、ブランコに乗って空を見上げると星が輝いていました。お父さんの顔をふと見ると、泣いていました。星を見ながら泣いていたのです。




 僕は、星や自然が人間に生きている素晴らしさを伝えているのだと感じました。




 その次の日にお父さんは死にました。お父さんは星になったらしいです。僕は人生がつらいと思ったときは空を眺めるようになりました。キラキラ光る星に、僕はいつも勇気をもらいます。

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