春の淵底

@Aoi_sheside

第1話 春を演出するもの

 春という季節を出会いの季節だ、と。


 心待ちにしていたのは学生時代までだったろう。社会に出ると其れは、程よいストレス体験になり得るか、暗礁に乗り上げるようなはじまりになるのか。大体どちらかだと感じることが増えた。


 桜の花がいかにも新たなスタート感を演出するが、あくまで演出だと考えてみる。そうすると少し楽だ。 

 その内秋くらいになると、人間関係も立ち位置がはっきりする。そんな落ち着いた季節の方が好きだ。

 

 その演出は、毎年のようにはじまり感を連れてやってくるが、仕事に終わりはない。寧ろ、終わりを連れてやってくる季節はどこにあるのか。


 春の淵底へようこそ。

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